コロナ禍でさまざまなイベントが中止や延期を余儀なくされる中、国内外の広告関連アワードも同様にその多くが中止となった。一方、日本パブリックリレーションズ協会では9月1日から国内のPR事例を表彰する「PRアワードグランプリ」のエントリーを開始した。今回のアワード開催において何を思い、何を目指すのか。審査員長である電通パブリックリレーションズの井口理執行役員に聞いた。
(取材・文/日本パブリックリレーションズ協会)
(取材・文/日本パブリックリレーションズ協会)
コロナ禍に出現する共感の芽を見つけよう
—コロナ禍でアワードやイベントが中止となっていますが、「PRアワードグランプリ」開催の意図は。
今年はカンヌライオンズをはじめ、Spikes AsiaやADFESTなど広告関連のイベントが軒並み中止・延期となり、また来年度のCESやMWC(モバイルワールドコングレス)、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)といった大型カンファレンスも早々にオンライン開催への変更を宣言しました。イベント自粛が続く中、このような催しはいかがなものかという意見もありますが、あえてこのような状況下だからこそ良き事例を集め、皆で共有したいという思いの方が強かったと言えます。もちろんソーシャルディスタンスの確保やオンライン審査なども考慮に入れ、安全に開催できると踏んで、協会とも議論しながら実施が確定しました。
コロナ禍では予測できない出来事が次々と巻き起こり、これまでの常識をいとも簡単に覆していきました。これまでの当たり前が立ち行かなくなることなんて、それまで想像もしていなかった人々が大半だと思います。それでも順応しながら、決して暗く打ちひしがれることなく、悪戦苦闘しながらも新たな当たり前をつくり、なじもうとしている。このような逆風の中でこそ、新たな人間の知恵が発現することもあると思います。そんな取り組み、努力、意志を取り上げ、スポットを当てる場があるべきと考えました。
