今年は全編オンラインでの開催となるが、オンラインになったからこそ日本独自に企画したセッションだけでなく、米国・欧州で開催の「Advertising Week」のセッションの一部を視聴することが可能になる(見逃し視聴は10月末まで可能)。
日本の広告界が議論すべきテーマを参加するボードメンバーが持ち寄り、セッションが企画される「Advertising Week Asia」。アドバイザリーボードのメンバーが今、日本の広告界が向き合う課題、そして希望についてリレー形式で語っていく。
Advertising Weekにようこそ!
今年も「Advertising Week」が東京にやってきます。このイベントは2004年にNYで始まり、現在は世界の6地域をカバーし、毎年16万人の感度の高い業界人が集まり、新たな知見をシェアするオープンな場所です。
という謳い文句は、「アドタイ」読者の皆さんはすでにご存知ですね。今回は、私を皮切りに合計3名の「Advertising Week Asia」のボードメンバーがリレー形式でコラムを執筆。各ボードメンバーが現在、広告の世界に対して抱いている課題や期待を提示しながら、今年の「Advertising Week Asia」について、さらにはコロナ禍の今年にもAWが生み出されていくのか、ちょっとだけ理解いただけるような内容をお届けしようと思います。
そもそも私は…
2018年の7月、夏の日差しが気持ちよく入ってくる早朝のホテルのダイニング・ルームで、眼鏡の奥に無邪気とも取れる眼差しを宿した図体の大きなアメリカ人と向き合っていました。「どうだ、面白いだろう!」。
前日だけの打ち合わせの予定が、明日も同じ時間でと強引に誘われて2日連続の朝食打ち合わせ、次に出てきた言葉が「とにかく8月のシドニーに来ないか?」。
その時の私はCEOを務めていた電通とWPPとの合弁事業が解消され、これを機会に次の仕事を探そうといくつかの会社と面談を進めているさなかでした。2日連続の彼との会話で、自分を育ててくれた広告業界への恩返しという選択もあるかもしれないと思いつき、言われるままに8月の冬のシドニー行きを決めました。
彼こそ、「Advertising Week」の産みの親であるMatthew Schecknerでした。
真夏の東京から降り立った真冬のシドニーで私が目にしたのが「Advertising Week APAC」。観光名所でもあるオペラ・ハウスでのオープニング・ガラではすでにメンバー扱いで多くの人に紹介され、翌日からのイベント会場はフェリーでたどり着ける遊園地を借り切っての3日間。多くのセミナー・セッションでの熱い空気と一歩外にでればメリーゴーランドのギャップ、誰でも気さくに話しかけてくる雰囲気も楽しく、交換した多くの名刺を手に、気づけばこの世界に引き込まれてしまいました。