働き方の制度設計から人事と協力するサイバーエージェントの広報 目指すは露出の最大化

リモートワークの長期化や社内のリアルイベントの中止で、他部門間のコミュニケーションが減ると、会社全体の一体感は薄れがち。社員が孤立せず、働きがいを感じながら、自発的に仕事ができるために、広報がすべきこととは……。広報と人事が連携しながら、働く環境を改善し、社員同士が助け合える風土をつくっている好例として、サイバーエージェントの取り組みを紹介する。

創業から22年、ネット広告事業を起点にゲーム事業、さらには、「ABEMA(アベマ)」の運営など挑戦的な試みを続けるサイバーエージェント。6月からは特定の曜日をリモートワークの日とする「リモデイ」など、働き方に対しても新たな試みを行い、挑戦できる環境づくりを促進してきた。

全社と各事業部に人事を配置

人事管轄の執行役員・武田丈宏氏によると、現在、同社の全社人事には約50人が所属している。全社人事とは別にネット広告やゲーム、各部門の事業部人事が80人ほどいる。2016年に人事部門内に立ち上げた「健康推進室」では、従業員の勤務状況を把握。負荷の掛かっているチームに対し、チーム全員と人事が一緒になって、仕事を棚卸しし、業務効率化や仕事の配分まで導く施策「棚卸会議」などの旗振り役を担っている。

女性の活躍を応援するmacalon

そんな同社で成果を上げているのが、2014年創設のmacalonだ。これは女性の出産・育児を経ても働き続けられる職場づくりを目指した8つの制度をパッケージ化したもので、名前の由来は、「ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く」だ。

この制度には、例えば「エフ休」と呼ばれる、女性特有の体調不良の際、月1回取得可能な特別休暇のほか、不妊治療中の社員のための「妊活休暇」、妊活に興味のある社員などが専門家に個別カウンセリングを受けられる制度などがある。

macalonの創設の背景を、広報責任者の上村嗣美氏はこう語る。「政府も女性活躍推進を打ち出していて、社内でもママ社員が100人に達しようとしていました。それまで個別に対応していましたが、きちんとパッケージ化した制度をつくろう、という話になりました」。

しかし、実はmacalon、提案時は、“ボツ案”だったというから驚きだ。同社では年1~2回、「あした会議」という新規事業や課題解決案を提案する会議がある。形式は、役員と、ドラフトで選ばれた社員がチームを組む(10チーム前後で参加者は約50人)。チーム毎に3案出し、藤田晋同社社長が審査、最終的に10~15案が決議される。そして、2014年2月に開催された会議で武田氏が提案したものこそが、macalon(の草案)だったのだ。だが、「社長の藤田からは、『いまいちだね』と返され、決議されませんでした」(武田氏)。

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