※月刊『宣伝会議』1月号(12月1日発売)では「商品基点のニュースをつくる プロダクトPR」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
ロングセラーブランドに共通する悩みと言えば、「ユーザーの高齢化」。そこで常に若年層との接点づくりの施策が必要となってくる。しかし既存ファンからの支持があることから、商品自体の大幅なリニューアルは難しい。それでは、コミュニケーションのアイデアで既存・新規双方のユーザーにアプローチするにはどうしたらよいのだろうか。1955年に発売開始された「カンロ飴」の新たなプロモーション施策について、ブランド室長を務める坂東氏に話を聞いた。
改めて「糖」を軸にしたブランドへ「カンロ飴食堂」の背景
近年、糖質制限ブームが高まるなか、カンロは自社の社会的な存在意義を再定義し、2016年に中期経営計画「NewKANRO2021」を策定。2017年、40年ぶりに導入された新CI「糖から未来をつくる。」のもとに、プロモーションの強化を図ってきた。2019年には「主力ブランドの育成」と「新ブランドの開発」を成長戦略の柱として、開発本部をマーケティング本部として再編。
『ピュレグミ』『カンデミーナ』担当の第1ブランド室、『健康のど飴』『ボイスケア』担当の第2ブランド室、そして『カンロ飴』『金のミルク』担当の第3ブランド室を設置し、改めて「糖」を事業の核とする方針を定めた。これに伴い、飴やグミといった商品だけでなく「糖」そのものの価値の発信も強化する流れとなった。
こうした方針を形にした活動のひとつが、「カンロ飴」を使ったレシピ提案だ。2020年4月にWeb上にオープンした特設サイト『カンロ飴食堂』では飴を加えて料理のコクや照りを引き出すレシピを、現在12品掲載している。
これまで「いかなごのくぎ煮に利用する」「1キロの大袋を鰻屋に卸していた」など、料理に活用されているという知見があり、20年程前にはパッケージ裏面に記載されたり周年企画などでレシピ提案は行われてきたが、今回改めて大々的なプロモーションを行う。『カンロ飴』の原材料は、「砂糖・水飴・しょうゆ・塩」のみ。「“飴を料理に?”と驚かれますが、原材料をみていただくことで“料理に使える”ことに対しての納得感は強いようです」(坂東氏)。
