鍵となるのは「政府への信頼」だ。個人情報を政府に預ける際の心理的躊躇を乗り越えるには政府への信頼が欠かせない。同じことは腐敗防止にも言える。「政府への信頼」は、透明性の確保と相まって、公務員に関わる贈収賄、裁量権の逸脱濫用、縁故主義の防波堤になるからだ。これは、権力の腐敗を前提として国家権力を分割し(三権分立)、権力行使に対する市民的監視の制度構築を図る従来型の立憲主義アプローチとは異なる側面を有する。また、電子政府化の進展が腐敗を減少させるのか、それとも腐敗が少ない社会が電子政府化の土壌となるのかも重要な点であるが、ここでは詳細を論じる余裕はない。
DX時代の情報戦略 いかに公共的な信頼を獲得するか
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