※月刊『宣伝会議』2月号(2月1日発売)では「『雑誌ブランド』のコミュニティ力を顧客開発に生かす」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
編集者と一緒になって「買いたい」気持ちをつくる
「ルンバ」「ブラーバ」各シリーズを製造・販売するロボット掃除機メーカーのアイロボット。同社はこれまで、雑誌広告についてはタイアップ記事を中心に展開してきた。
マーケティングコミュニケーション部の高川氏は、「私たちにできるのは、商品そのものの良さを伝え続けること。ただ、まだブランドとの接点をつくれていない、購入を検討している人たちに対してのコミュニケーションとして、対象者の文脈にあわせた訴求が可能なメディアである、雑誌を活用しています」と話す。
各雑誌が保有するセグメントのインサイトを最もとらえているのが編集者。その読者に届けるための「翻訳する力」への信頼度は高いという。
「『ルンバ』のように単価が高い家電は、広告を打ったからと言って即コンバージョンにつながるものではありません。まずはその記事が、最後までしっかり読んでもらえるコンテンツになっているかどうか。発行部数や広告効果など、データの可視化についてはもちろん期待しているところですが、一方で、出版社ならではのコンテンツ企画力を生かした、誌面にとどまらないタッチポイントをいかに増やせるかも考えています」(高川氏)。
“記事を読んだ人を起点にウワサになるような誌面”を、編集部と一緒になってつくっていきたいと話す高川氏。今後、SNSでのライブ配信やインフルエンサーによる発信など、出版社が持つデジタルコンテンツの活用も検討していくという。
高川 弥生 氏
アイロボットジャパンマーケティング本部
マーケティングコミュニケーション部
第三者からの“お墨付き”を得る紙媒体ならではの販促効果も
化粧品・健康食品メーカーのファンケル 広告宣伝部長の福本氏もまた、編集部の「コンテンツメーカー」としての役割に期待を寄せる。
かつて、雑誌の純広告を認知獲得やイメージ醸成を目的としたブランディングメディアとして活用してきたという同社。近年は商品への理解や購入意向を促すなど、企画のハブ的な役割として、雑誌でのコミュニケーションを図っているという。
「たしかに雑誌単体で見ると出稿金額、回数ともに減少傾向にあります。しかし、雑誌系Webメディアへの出稿は増加。Webとセットで考えることで、読者とのインタラクティブなコミュニケーションの機会にもつながります」(福本氏)。