ロッテは1月19日にマスクの中の“臭い”対策のためのガム「ACUO FOR MASK」を発売した。コロナ禍で生まれた「マスクの中の臭いが気になる」という課題に対し、長年蓄積されていた香料技術を活用して約半年でガムを開発。企画・開発の裏側を、同社マーケティング部ブランド担当チューイング企画課 の山本賢一氏(「ACUO FOR MASK」開発当時、現・キャンディ企画課 課長)と、同社 中央研究所チューイングガム研究課の海老原京太氏に聞いた。
口の中や息だけでなく“マスクの中の空間”に着目したガム「ACUO FOR MASK」(税抜184円)。不快な香りをよい香りの構成のひとつと捉え、不快な香りを感じにくくさせる香料技術「ハーモナージュ技術」を活用した商品で、1月からコンビニをはじめとする小売店で販売している。
メインターゲットは、マスク内のエチケットに特に関心がある20代~30代の女性。ガムの味からパッケージに至るまで、この層を意識して開発した。
「マスクの中の臭いが気になる」は8割以上
開発の背景にあったのは新型コロナウイルスの感染拡大。マーケティング部の山本賢一氏が、マスクの着用者が増えるなかで“口臭が気になってマスクに好きな香りをつける方もいる”という情報を耳にしたことがきっかけだった。山本氏は「食後のお口のエチケットとしてガムを噛むというニーズはすでにありましたので、それと同様に、マスク内の空間をより良くするためにガムを活用できないと考えました」と話す。
実際に2020年12月に同社が行った調査では、「マスクの中の臭いが気になる」と回答した人が8割以上となっている。
企画の原案ができたのが、第一次緊急事態宣言が発出されていた4月ごろのこと。街から人が消えるとともに、“ポケット菓子”と呼ばれる、携行しやすいガムやキャンディの売上は急落していた時期だ。国内ガム市場で約60%のシェアを握る最大手のロッテも大きな打撃を受け、新たな販売策を模索していたタイミングだった。


