「綺麗な比率になるまで延々とやっている」
佐藤さんは、多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業し、博報堂に入社。その後、2000年に独立しクリエイティブスタジオ「SAMURAI」を設立しました。国立新美術館や東京都交響楽団のシンボルマークデザイン、ユニクロやセブン-イレブンジャパン、楽天グループなどのグローバルブランド戦略、さらにはSMAPをはじめとするアーティストのアートワークなど多岐にわたり、日本のデザイン業界で活躍しています。
現在、東京・六本木の国立新美術館で「佐藤可士和展」を開催中です(※5月10日(月)まで)。佐藤さんは、自身にとって最大規模となる個展を開催するにあたり「クリエイティブディレクションという概念を“どうやったら伝えられるか”ずっと悩みながら、展示をどうするのか考えていた」と振り返ります。
というのも、これまで手がけてきた数多くのロゴデザインは多くの人にとって身近で馴染みはあるものの、「ロゴはデータですから、実体があるようでない。(手がけてきた)ロゴをそのまま展示しても『これのどこが作品なの?』となってしまう」。とはいえ、「ロゴはブランド戦略の要でもあるので、その存在感や社会での重要性などを“どうすればみなさんに伝えられるのか”と最初に考えた。インパクトのある展示にしたかった」と明かします。
同展の「THE LOGO」のコーナーでは、ロゴを絵画やオブジェに物質化。さらには、緻密に描かれたロゴの設計図なども展示されています。
著書『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞社)を発刊するなど、超がつくほどの整理好きの一面を持つ佐藤さん。実際にロゴを設計していく際にも「本当に綺麗な比率になるまで延々とやっている」と言います。なぜそこまでこだわるのかというと、「ロゴはスマートフォンなどで目にすることもあれば、巨大な看板で目にすることもある。そのため、どのような場面で視界に飛び込んできてもイメージがブレない。これを僕は『ロゴの耐久性』と呼んでいる」と説明します。
