話題の人に密着し、度々SNSで話題になるNHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル』。そのチーフプロデューサーの2人を、テレ東出身で経済番組の元ディレクターが取材。企画の切り口や取材先の選定方法などを詳しく聞いています。
*本記事は4月1日発売の『広報会議』5月号の転載記事です。INTERVIEW
『プロフェッショナル 仕事の流儀』
2006年1月から放送開始。超一流のプロフェッショナルに密着し、その仕事を徹底的に掘り下げていくヒューマン・ドキュメンタリー番組。
NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』は今では珍しくなってしまった、「ひとを追いかけること」にこだわり抜いたドキュメンタリー番組だ。チーフプロデューサー(CP)の荒川格氏と末次徹氏に話を伺った。
トップの喜怒哀楽に迫る
ひとを追いかける番組だけに、人選は極めて重要だ。どのような「プロフェッショナル」が、取材対象となるのだろうか。「あらゆる分野のナンバーワンのひとを取り上げるのが、番組開始当初からの原則です」(荒川CP)。「トップオブトップと言える方々、野球選手ならイチロー選手、映画監督なら宮崎駿さん、俳優なら高倉健さんを取り上げてきました。コンセプトは揺るがないようにしています」(末次CP)。
15年間に渡って、数多くのトップオブトップを取材してきた『プロフェッショナル』。それぞれが最も印象に残っている回を聞いた。
荒川CPは、宮崎駿監督を取材したときが、忘れられないという。「最初は断られたのですが、鈴木敏夫さん(スタジオジブリ・プロデューサー)が『書生として置いてあげれば』と言ってくれて。宮崎さんも『それなら』と受け入れてくれました」(荒川CP)。
それから、宮崎駿監督との1対1の真剣勝負が始まる。宮崎さんから「書生ならひとりで来い」と言われ、カメラマンなどは同行させずに、小型カメラを持って、ひとりでアトリエに通うことになった。「宮崎さんから、もっと良い言葉や深い精神性を引き出せたのではないか。自分の人間性の浅さを痛感させられました。超一流と20代後半の若造が向き合わないといけない。まさに、血の涙を流しながら制作者として成長していくという感覚です」(荒川CP)。



