マイクロコピーだけじゃないUXライティング
2021年4月現在の日本ではUXライティングに関して、「マイクロコピー」(注)という側面から捉えた情報が溢れています。たしかに、Webサイトやスマホアプリにおけるボタンのラベル(たとえば、ECサイト上の「購入する」というボタンなど)の言葉選びはUXライティングの最たるものかもしれませんが、UXライティングというのは決してマイクロコピーだけに限るものではありません。
もともと、GoogleのUXライターの求人には次のような記載がありました。
“文字情報によって、ユーザーのタスク完了を支援する。自社の商品がもつトーンと製品のUXデザインを牽引する存在。”
上の表現では「文字情報」とありますが、これはいわゆる視覚的なテキストにとどまるだけでなく、人の声やあらゆる音を介してのコミュニケーションも含まれていると思います。
4大テック企業を指して「GAFA」と表現するのは日本だけ(例の書籍がきっかけ。もともとはフランスが発祥との説も)ですし、誤った概念で広まってしまうマーケティング用語が私たちの業界には溢れています。UXライティング=マイクロコピーという認識もそれに近いような状況を危惧しています。そして、サービス開発の最後の方で「ここに当てる言葉を考えてください」というのも、UXライターがコミットするタイミングとしては遅いかもしれません。
これは、多くの日本のメーカーがエンジニアリング→デザインの順に開発の過程を経ることに似ています。技術ありきで意匠を行うと機能が盛りだくさんでも、その機能自体をユーザーが求めていなかったり、デザインが疎かにされているのではと思わされることがあります。それとは反対に、Appleから優れたプロダクトが生まれる理由のひとつに、初期段階からデザイン担当者がコミットされることが有名です。この考え方と同様で、UXライターが開発の初期段階から意見を交えることで、ただスペックが優れているだけでなく、そして見た目が映えるだけでなく、毎日使いたいと感じる優れたユーザー体験を提供するプロダクトの実現に近づけるのではないかと考えています。
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