【前回コラム】「タップするその言葉はUXライティング」はこちら
スマートスピーカーにおけるUXライティング
2014年にAmazonがアメリカで「Amazon Echo」を発売したのを皮切りに、現在ではあらゆるブランドから発売されているスマートスピーカー。アメリカと日本では住宅事情が違うこと(ざっくり言うとアメリカの家は広い・日本の家は狭い)、そしてアメリカは「話す文化」に対して日本は「書く文化」であることを引き合いに出され、スマートスピーカーは日本では馴染まないのではないかとも言われていました。
しかし、日本でも少しずつ利用者が増えているようです。最近ではリモート会議中、特定のキーワードに反応して自宅のスマートスピーカーが起動してしまうというちょっとした事件が各地でも起きているとの声をチラホラ聞きます。使ったことがない人からすると、わざわざスマートスピーカーを導入するメリットやイメージが掴みにくいかもしれませんが、一度便利に慣れてしまうとヒトはそれから離れられない生き物です。iPhoneが発売した時も、「こんなにたくさんアプリがあっても使いきれないから日本では売れない」という声がありましたが、今やスマホが携帯電話の市場をかっさらってしまったのは自明の理です。
Googleが提供するスマートスピーカー「Google Home」(現Google Nest)が日本に上陸した時、衝撃を受けました。この白いスピーカーがどれだけ生活を豊かにしてくれるのか、といったサービスそのものへの期待よりも、アメリカで「OK Google」だった呼び掛け言葉が、日本では「ねぇ Google」という言葉になった背景に興味が湧いてきたのです。
つまり、Google Homeは日本のユーザーに対して、「ねぇ」と言える関係を構築したかったのです。普段の私たちの生活において、【初対面の方・先輩・上司・目上の方】に向かっては「ねぇ」と声を掛けたりはできません。【友達・同僚・後輩・パートナー】でしたら「ねぇ」と声を掛けても不自然ではありません。つまり、Google Homeは【友達・同僚・後輩・パートナー】のような関係性を構築したいからこそ、コミュニケーションのキモとなる最初のとっかかりである声かけを「ねぇ Google」にしたのではないでしょうか。
おそらく「ねぇ Google」という【ウェイクワード】(呼び掛け言葉)にいきつくまでの間には数々の候補が挙げられたのでしょう。「やあ Google」、「こんにちは Google」、「ちょっと Google」「お願いがあるんだけど Google」、「聞いて Google」「ごきげんよう Google」。あくまで推測の域を出ることはありませんが、ここに列挙したワードはGoogle Homeが日本で発売される際の担当者たちのミーティングの俎上に載せたのではないかと思います。もちろん、会議参加者の中に「UXライター」という肩書きのメンバーがいなかったかもしれませんが、言葉でユーザーの行動を支援するという意味では、まぎれもなく「UXライティング」が施されているのではと考えられます。
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