*本記事は『別冊 販促コンペ 公式・企画ガイドブック』(宣伝会議)からの転載です。
*本稿は「第13回販促コンペ」の開催に際し、掲載した記事です。
【回答者】
ビーコンコミュニケーションズ
井上忠司(いのうえ・ただし)氏
1969年生まれ。レオバーネット協同、JWTを経て、ビーコンコミュニケーションズで現職。ACC、カンヌライオンズ、アドフェスト、スパイクスアジアなど受賞多数。
Q 「インサイト」って何ですか。
A 私は「言語化されない人の思い(本音)」だと理解しています。
商品やサービスと人(ターゲット)とのかかわりにおいて、極めて重要なものです。そのため、クライアント企業のオリエンシートやブリーフに調査から導き出された「インサイト」が、必ず明記されていると思います。
ただ、インサイトは、「言語化されない人の思い(本音)」。つまり、消費者に質問してすぐに出てきた答えは、インサイトではない可能性が高いのです。したがって、企画者はより深く洞察して「気づき」や「発見」をしなければなりません。どこまで“自分ゴト”化できるか、実感を伴った「あるある」に結び付けられるかが、重要です。
Q クライアント視点/顧客視点で企画を見るには?
A 家族や友人など、他人に聞いてみるのが一番早いです。
精度を高めたいなら、営業担当者や直接的なターゲットになりうる人複数に自分の企画を説明してみるのが一般的。長く担当しているクライアント企業の仕事であれば、聞くまでもなく自分自身がクライアントと同じ視点に立つのは難しくないことだと思います。クライアントのブランドに対する認識の深さがそれを可能にします。
Q 企画にリアリティを持たせるには?
A 自分の企画を批判的な目で見てみて。
あなたの企画が世の中に出たときのことを想像してください。同時にすでに世の中にある企画を批判的な目で見てみてください。そうすると気がつきます。あなたの企画は自分が批判したのと同様に他人の批判も受けます。それに耐えられる企画かどうかです。世の中の人は都合良く動いてはくれませんし、興味も持ってくれません。
Q 「ブランドらしさ」のある企画にするにはどうすればいいですか。
A 「ブランドの擬人化」が簡単な方法では?
ブランドガイドラインなどの資料以上に理解を深めるためには、「ブランドの擬人化」が簡単な方法ではないでしょうか。人に例えてみれば、あなたの企画したセールストークをその人が言うのか言わないのか、トーン&マナーに照らしておかしくないか、など簡単に想像できるはずです。
また、担当するブランドはマーケットの中でどういうポジションなのかによっても判断できると思います。ナンバーワンブランドなのか、四番手、五番手のブランドなのかによっても変わるでしょう。ナンバーワンブランドは王様なので他者との比較はまずしません。逆に下位のブランドは挑戦的なスタンスを取ることが多いです。ブランドらしさを定義する一つの指標になると思います。