「豊かなCMって、なんだろう。」ー松田翔太・吉兼啓介(博報堂)がCMの未来を考える

2021年1月に公開されたオープンハウスの広告で初タッグを組んだ、俳優 松田翔太さんと、博報堂CMプラナー 吉兼啓介さん。

共に1985年、86年生まれの同年代で、幼い頃から広告に心惹かれていた2人は、「今、自分たちはそんな広告をつくれているのか?」と問いかける。演者でありながらクリエイターの目線でCMを見てきた松田さんのこだわり、吉兼さんが求める「わからない」CMについて、話が繰り広げられた。(今号は2人による連載「広告少年」の初回拡大版としてお届けします)。

本企画は、月刊『ブレーン』創刊60周年記念号(6月1日発売7月号)からダイジェストでお届けします。

(左)松田翔太(まつだ・しょうた)
1985年、東京都出身。近作に『ディアスポリス―DIRTY YELLOW BOYS―』(2016/熊切和嘉監督)、『オーバー・フェンス』(2016/山下敦弘監督)、『東京喰種トーキョーグール【S】』(2019/川崎拓也、平牧和彦監督)、『一度死んでみた』(2020/浜崎慎治監督)、『望み』(2020/堤幸彦監督)など。Paraviにて『SPECサーガ完結篇「SICK’S」~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~』シリーズ(堤幸彦監督)が配信中。
(右)吉兼啓介(よしかね・けいすけ)
博報堂のCMプラナー/クリエイティブディレクター。1986年山口県生まれ。主な仕事に、オープンハウス「座敷童子」「夢見る小学生」、日清ラ王「天使の兄妹」、日本郵便「手紙の部屋」、FCN arrows 「割れない刑事」、東京ガス「電気代にうる星やつら」など。

日常の中の非日常が広告だった

吉兼

:そもそも僕と松田翔太さんは、オープンハウスの広告で初めて一緒に仕事をしたんですよね。戸田恵梨香さん、東京03の角田晃広さんが夫婦を演じ、翔太さん演じる「座敷童子」が、戸建ての購入を促す内容で。翔太さんは撮影前から打ち合わせをして、衣装もスタイリストさんと一緒にいろんな案を出してくれたんです。撮影時も演じてもらっているというより、広告を一緒につくっている感覚でした。

松田

:吉兼くんとはたまたま共通の友だちもいたんで話しやすかったですよね。

吉兼

:そうですね。その翔太さんの姿勢に、僕は感動してしまって。翔太さんはCMのクリエイティビティを信じてくれている気がしました。

松田

:広告には映画とは違う角度から刺激を受けてきました。僕の地元は映画館がすごく多い街で。初めてひとりで映画館に行ったのが小学校5年生の頃だったかな。やはり映画にはとても興味があって、ハリウッドのものからインディーズ、いろんな国のものまで自分が気になった映画を観に行っていました。「吉祥寺バウスシアター」(2014年5月閉館)にはよく行っていましたよ。

映画を観終わって、街を歩いて家に帰ると、徐々に映画の世界から現実に戻ってきた感覚になる。そんな気分も映画ならではの感覚で僕は好きでした。だけど、CMって自分でどれを見るか選べないし、番組表に載っているわけでもないから「偶然出会えた」感がすごかったんです。

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