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コラム

クライアントとして、企画の殻を破る方法

【第2回】クリエイターがいい案を出したくなるお題、どう考える?

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これまでのあらすじ

前回のコラムで触れたとおり、アイセイはカラーコンタクトレンズ(カラコン)を主業とする企業として、コンタクトレンズを正しく利用してもらうべく、さまざまな啓発活動に力を入れてきた。

たとえば一般社団法人日本コンタクトレンズ協会の掲げる行動指針に沿った内容を、よりわかりやすく、かつ親しみやすくしようと、インフルエンサーを起用した動画などの啓発コンテンツを制作した。あるいは、2週間ないし1カ月間装用のコンタクトレンズについても、それはきちんと洗浄してこそなので、専用のケースをノベルティとして提供したりもした。

毎年、種々の工夫をこらしてきたのだが、しかし、ユーザーに望ましい行動変化が定着につながったかと問われると、まだ不十分さが残るというのが正直なところである。

そこで、〈異世界の人々〉であるクリエイターたちの力を借りて、ぜひ、ユーザーの行動変容につながるような、殻を破ったアイデアを生み出してもらいたいというのが、これまでの内容だった。

そこで今回のテーマは、「どのように依頼すれば、クリエイターは〈殻を破ったアイデア〉を考え出せるのか?」だ。

テーマ決めは答えを出すのと同じくらい大変

「こういったことを考えてほしい」というのは、簡単なようでいて奥が深い。問いかけというのは一定程度、答えを規定してしまう。たとえば「SNSでバズる企画を考えてほしい」というお題は、すでに何らかの課題に対して「SNSでバズる」という答えを出してしまっている。かといって、「年間売上を2割増にする方法を考えてほしい」では丸投げ感が強く、マネジメントとクリエイターの連絡窓口になってしまう。

「販促コンペ」でのテーマ設定と募集広告は、社内に複数いるデザイナーに制作してもらったのだが、それは、その経験が、今後の制作においてもプラスになると考えたためだ。当人たちも意気に感じ、真剣に考えてくれた。そのラフ案をいくつかご紹介したい。

アイセイの社内デザイナーが考案した、企画募集のラフ案

いずれの案も、これまでの啓発活動におけるオーソドックスなアプローチと矛盾したり、齟齬をきたしたりしないよう、うまく整理されている。カラコン業界や、カラコンユーザーの心情にも配慮したのであろうこともひしひしと伝わってくる。さらには、お堅くならないようなデザインテイストにしようと工夫を凝らしたその跡もよくわかる。

いったん、これらの要素をまとめておこう。

企画案を依頼するにしても、さまざまな制約がある

こうしてみると、文字どおり針の穴を通すような作業をしていることがわかる。そして、ほかの業界に身を置かれる読者の皆さんも、クリエイターへの依頼時には、おそらく同様の困難に向き合ってこられたのではないだろうか。

次ページ 「関係者の不興を買うのではないか…」へ続く