電通、著名人のレンズサインをデジタル化 羽生結弦選手ら使用

電通は7月15日、サイン(署名)をデジタルコンテンツとする「LIVE Sign.」(ライブサイン)について発表した。サインは、テレビ放送やオンラインでの動画配信にリアルタイムで合成可能。2020年12月の全日本フィギュアスケート選手権大会などでの使用例があり、フィギュアスケートの羽生結弦選手や、スピードスケートの髙木美帆選手、ショートトラックの渡邊啓太選手らのサイン動画は、総計で70万回以上表示された。今後、スケート競技以外にも使用が内定している。

電通は「LIVE Sign.」に関連し、NFT(非代替性トークン)というデジタル証明技術の活用を検討している。NFTは、唯一の所有者であることが証明でき、デジタル化したサインデータの所有権を明確にし、適切に取引できることが期待される。世界的な美術品オークションハウスではことし3月、デジタルアートのNFTが約8億円で落札されたケースもある。電通は、グループが出資するベンチャー企業スタートバーンと共同で、NFTを活用した「LIVE Sign.」の実証実験を進める。

「本来、サインはメモリアルな瞬間を切り取ったもの」と、「LIVE Sign.」に携わる電通の日比昭道は話す。「同じ人のサインでも、その背後のシチュエーション、ストーリーを加味すれば唯一無二のもの。NFTを活用すれば、〔コピー可能な〕デジタルデータとなっても、『サインを持っている』という気持ちを満たせるし、不適切な方法で再販することも防げる」(日比氏)

2020年末〜21年年明けにかけて配信された、羽生結弦選手、髙木美帆選手、渡邊啓太選手らによる「LIVE Sign.」を用いた動画

アスリートに限らず、アイドルや俳優、声優などのサインが入った品が、フリーマーケットアプリやオークションサイトで金銭目的で販売される実情もある。日比氏は、「サインは、書いた人とファンとのつながりの現れのひとつ。善意で応じ、渡すもの。こうした課題の解決も可能だと考えている」と話す。

ファンを獲得し、より愛着を深めてもらうことを図るスポーツ団体の活用も想定している。

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