廃藩置県から150年、「市民」と「都市」はどう変化?鍵は“シビック”の主体性

読売広告社で「都市」を対象とした新たなマーケティング視点のもと活動を行っている都市生活研究所。同研究所ではコロナ禍をきっかけに、新たな生活者の姿が生まれているのではないかと着目し、新たな生活者との連携により生まれる活動を「シビック・コミュニケーション・デザイン」と定義した。現在、都市と生活者にどのような変化が見られているのか、山下雅洋氏と小林亜也子氏に聞いた。

月刊『宣伝会議』10月号(9月1日発売)では、「47都道府県が150周年!?自治体企画は周年事業のショーケース」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事を一部公開します。

 

読売広告社
都市生活研究所
都市インサイト研究ルーム・ルーム長
山下雅洋氏

読売広告社
都市生活研究所
都市インサイト研究ルーム・担当部長
小林亜也子氏

 

コロナ禍で加速した市民の動き 市民と行政が協力する時代

読売広告社は、「都市」と「生活者」は互いに影響を与え、常に変化を続ける存在であり、その潮流を捉えることが未来を切り拓くヒントになるとの考えから、「都市と生活者の未来を拓く」をビジョンとして掲げている。

このビジョンの中核を担い、「生活者」に加え「都市」を対象とした新たなマーケティング視点により、企業や社会に貢献すべく活動をしているのが都市生活研究所。研究所では、市民(生活者)の都市への「愛着」や「誇り」を醸成するコミュニケーションを起点に、生活者の能動性・主体性を引き出すための“コミュニケーション・デザイン”ノウハウを多領域で活用する「シビックプライド研究」や、「人が居たくなる場」「人の能動性を生み出す場」の可能性を有識者と共に探求する「次世代サードプレイス研究」を通した知見により、街づくり・都市開発コンサルティングや都市ブランディング戦略などの面で社会・企業を支援している。

都市生活研究所ではコロナ禍において「生活者」の姿が、都市の恩恵を受身的に享受するだけの存在から、自らの幸せを自分たちのチカラで切り拓いていくため、より主体性と多様な参画意欲を備えた「シビック」へと変化しているとする。

消費行動を行う“消費者”から、自分らしい暮らし方を求める“生活者”へ。そして“生活者”から、都市を自らが変えていくような主体性を持つ“シビック”へと、都市における市民は進化している。

都市インサイト研究ルーム担当部長の小林亜也子氏は、「以前から先行き不透明なVUCAという考え方はありましたが、コロナ前はそれが“なんとなく”という状態でした。

それがコロナ禍で生活者にとって自分ゴト化され、実際に行動に移したり、行動を加速させたりといったことが起こっています」と話す。

シビックの自律意欲のある能動的な動きが都市生活のエンジンとなることを、都市生活研究所では「シビック・コミュニケーション・デザイン」と定義。

さらに、この「シビック・コミュニケーション・デザイン」を考える上で着目すべきテーマとして、研究所では「シビック・エコノミー」「シビック・インフラ」「シビック・プレイス」「シビック・エデュケーション」「シビック・アクティビティ」の5つを挙げる。

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