コラム

NYから解説!日本企業のグローバルブランディング

鎌倉シャツ「究極の作務衣」:伝統と現代性、原点回帰と斬新さの最適化ブランディング

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生き残っているブランドに共通しているのは、そのブランドが生まれた原点や始まりの地を大事にしていること。今の時代との最適化を図り、未来を見据えて常に変化し続けていること。そして、いつもと変わらぬ顔で「そこにいる」ことだ。「古くならない」それが常に現役であり、生き残っているブランドの共通項と言える。

ビジネスパーソンであれば誰もが知るブランドの一つ、「メーカーズシャツ鎌倉」通称「鎌倉シャツ」もその例の一つ。常にビジネスパーソンの強い味方で、人の日常を理解し、販売している商品において常に高い平均点を連打しているという印象が強い。

その鎌倉シャツが、地元鎌倉の寺院とのコラボレーションで開発した、日常に馴染むなんともスマートな「究極の作務衣」を作り、クラウドファンディングサイトMakuakeで予約を開始したのだ。

 

まずはプロモーション映像をご覧いただきたい。

 
商品の詳細はこちらから。

鎌倉シャツの始まりの地である鎌倉、そこをイメージするお寺、日本の伝統と、鎌倉シャツの技術が合わさった作務衣。機能性が求められるこのアイテムには、日本のみならずNYをはじめとした国外展開をする同社のアイディアとセンスが発揮されている。世界的なパンデミックによるリモートワークで「外着にもなる家着」は需要を増している。米国ではカジュアルの中心ともなっているアスレジャー(スポーツウエアを普段着に取り入れたスタイル)が、なかなか根付かない土壌の日本において、このシャツ屋さんが作るスマートな作務衣は、伝統的であり斬新でもあり不思議な融合に思える。

また、奇をてらっていないところも、アイビースタイルが根底にある鎌倉シャツらしくて安心感がある。

この作務衣、素材は日本が世界に誇るカイハラ製のストレッチデニム。伸縮が効くからこそ叶えられるスリムなシルエット。それ故に成立するスタイリッシュさと着心地良さの共存だ。

筆者が個人的に興味を惹かれたのは、ビーチでサーフボードを抱える男性が、作務衣を着ている姿。Tシャツに作務衣の上着の前を開けて羽織り、ボトムの足元はスニーカー。S A M U R A Iサーファースタイルとでも言おうか。中でもすっきり仕立てられた作務衣のボトムは、正に上質なジョガーパンツ。スマートでコンフォタブル(快適)なスタイルは、今後も続くであろう時代の波にさえ乗っている。

 
鎌倉シャツがNY進出を決め、マディソン街の店舗の場所が確定した日から、公私ともにお付き合いのある貞末奈名子社長に話を伺ったところ、このアイディアは弟さんであるディレクター 貞末哲兵氏が中心となって展開したプロジェクトだそうだ。映像・写真の出演者もコラボレーションした寺院の僧侶、鎌倉シャツの社員、そしてご友人たちだとのこと。モデルではなく、リアルな人たちを使い、人々が自らを投影しやすくする手法を使うあたりも、誰に何を一番大事なこととして伝えたいかが明確であることが分かる。

Makuakeで予約が開始してすぐに、第一弾の出荷分予約があっという間に埋まったそうだ。このプロジェクトにおけるブランディングもファンたちの心をしっかり掴んだようだ。

鎌倉シャツは、昨年末一旦NYの実店舗を閉じたが、このブランドのファンはNYに未だ多く存在する。日本の伝統のテイストを保ちつつ、グローバルな視点のフィルターを通して開発された機能性の高いスタイリッシュな究極の作務衣を、彼らも身につけてみたいはずだ。この作務衣のプロモーション映像を何度も見ながら、ディレクターの貞末哲兵氏の構想から完成までが綴られたブログの最後の方に書かれている
“今回の「作務衣プロジェクト」は、鎌倉シャツが中心となって、鎌倉に小さな輪を作ることが出来たようにも思います。そして、この輪を鎌倉から日本中へ、そして世界へ広げていけたらこの上ない喜びです。”
の言葉に期待をする。きっと近い将来鎌倉シャツは新しい形態で西洋圏に再展開をするに違いないと。

これもブランドの持つ力と発信力だ。伝統と現代性を人々の日常にうまく落とし込む鎌倉シャツの動向から今後も目が離せない。
 

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