企業が不祥事などの危機に直面した際、公式サイトに謝罪文を掲載するなど、何らかの広報活動が求められる。そこで本稿では、これまで謝罪文を書いたことがない、という人でも分かるように、最も重要な7つの謝罪やリリースを執筆する上での要点を、危機管理広報に詳しい浅見隆行弁護士が解説する。
*本記事は10月1日発売の『広報会議』11月号の転載記事です。
POINT1 広報する目的の設定
何に対する謝罪か 明確にしておこう
まずは広報する目的を設定することです。その広報によって何をメッセージとして伝えたいのかテーマを設定すること、あるいは自社が求められているものは何かを明確にすることと言い換えてもいいかもしれません。
2021年前半にも相次いだバイトテロのケースを例に説明しましょう。レストランでアルバイトの学生がバックヤードで食品を不衛生に取り扱い、その様子を動画に撮りSNSにアップしたところ拡散・炎上したというものです。
飲食店・レストランを営む企業が広報によって伝えるべきメッセージは、衛生管理を徹底しているので食の安心・安全は維持されている、今後も安心・安全であるから来店してほしいというものでしょう。だとすれば、広報の内容は衛生面での安心・安全に的を絞ることになります。おのずと、謝罪の言葉は「食の衛生面に不安を招き申し訳ない」となり、原因や再発防止策は店舗の衛生管理の状況を説明すれば足りることになります。
失敗例が北海道日本ハムファイターズの謝罪文です。2021年4月に試合前の円陣の様子をSNSに公開したところ、「日サロ行き過ぎやろ、お前」と同球団に所属する万波中正選手の肌の色を茶化す声が収録されていたため、人種差別的発言であると批判が集まりました。