【CES2022】P&Gから学ぶ、これからのテクノロジーやCESとの付き合い方(玉井博久)

自動運転や宇宙関連技術が注目を集めた「CES2022」。今年は米国ラスベガスの見本市会場とオンラインのハイブリッドで開催され、1月7日に閉幕しました。本稿では、江崎グリコの玉井博久氏が注目ポイントを速報します。

 

P&GがCESに出展する3つの目的

2019年からCESに出展しているP&Gが、今年もプレス向けにキーノートを行いました。はじめにチーフブランドオフィサーのMarc Pritchard氏から、P&GにとってCESをどのような機会にしたいかという話があり、「テクノロジーを活用することで商品のパフォーマンスを高めたことを伝える場」「より良いブランド体験を提供するために協業パートナーを見つける場」「変化に対してリードする側に立つためのヒントを見つける場」の3つが紹介されました。P&Gのブランドは洗剤やシャンプー、紙おむつといった日用品が中心ではありますが、そうした商品のパフォーマンスを最大化させていくためにも、CESは欠かせないと考えているようです。

 

1点目の「テクノロジーを活用することで商品のパフォーマンスを高めたことを伝える場」について、そもそもP&Gのブランドは、お客さまの商品利用時における商品のパフォーマンスがすべてだとし、お客さまに対して商品の果たす役割(Job to be done)を進化し続けなければならないとPritchard氏は述べます。

その一例として電動歯ブラシのオーラルBの取り組みが紹介されました。オーラルBがテクノロジーを活用してどの様に進化したのかを、グローバルオーラルケアのシニアバイスプレジデントAlita Vegas氏から説明があったのですが、取り組み内容から2つのキーワードがありました。「コーチ」と「エデュケーション」です。

紹介された最新のオーラルBはスマホと連携することなく、電動歯ブラシ自体が、利用者に正しいブラッシングの力の入れ方、磨くエリア、ブラッシングする秒数などを、まるで歯医者さんが横にいて教えてくれるように伝えてくれるというものです。まさに健康な口内環境を手に入れるためのコーチのような存在だとVegas氏は紹介しました。

この「コーチ」もしくは「コーチング」は、以前

フィリップスの取り組み

を紹介した際にも出てきたキーワードです。商品のパフォーマンスを最大化させるために「コーチ」になるという姿勢で、テクノロジーを自社に取り入れていくという方向性が、巨大企業の2社から示されているといえます。

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