テルモ100周年 グローバルでの一体感を醸成

社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。『広報会議』では、長寿企業から学ぶ企画「周年イヤ―の迎え方」を連載している。今回取り上げたのは、2021年9月に100周年を迎えたテルモ。グローバルを巻き込みつつ、これからの100年も成長し続けるために、何が必要か。「TSU NA GU」のコンセプトのもと進められた、周年を紹介する。
※本記事は『広報会議』2022年2月号の転載記事です。

テルモ 1921年創立
世界160以上の国と地域で事業を展開し、2万6000人以上の社員が革新的なソリューションを医療現場に届ける日本発の医療機器メーカー。体温計の国産化から始まり、ディスポーザブル医療機器、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供している。

 

医療従事者と並走しながら世界の医療をサポートしてきたテルモは、2021年9月に100周年を迎えた。

同社では2017年4月にコアプロジェクトを発足。100周年記念事業の目的を「次の100年に向けて成長していくための課題解決」と定めて専任者を選出し、1年以上かけて課題抽出を行った。その中で「テルモバリュー(企業理念/コアバリューズ)への共感・一体感醸成」と「社内外のプレゼンス向上」という2つの課題と、 解決のためのコンセプトワード「TSU NA GU」が決定した。

日本のプロジェクトマネジメントオフ ィス(PMO)のリーダーを務める上多弘志氏は、「当社は2000年以降、事業の拡大に伴い急激なグローバル化が進み、地域的な連携はもとより事業や部署における連携の希薄化が課題でした。そこで100周年を機に、国内外・社内外を問わず “TSU NA GU” ための企画を考えていきました」と背景を説明する。

3つのカテゴリーで企画を構成

企画の大きな柱は3つ。まずは2万6000人の社員から “すごい人” を見つける社内公募選出企画「TERUMOʼ S 100 Associates」や、国を跨いだチームでチャレンジ達成を目指す「TSU NA GU Ch allenge」、記念冊子「Living Our Core Va lues」の配布、そして「TERU」と「RUMO」というキャラクターが世界の事業所をまわりSNS上で社員をつなぐ「TERUʼ S Jo urney & RUMOʼ S Adventure」など、グローバルな社内での取り組み。

テルモの “すごい人” を見つける「TERU MOʼ S 100 Associates」と「TSU NA GU Challenge」の応募を募る告知ポスター。

次に、テルモの歩みを体現する100周年スローガン&ロゴ、日本を代表する作曲家である千住明氏に制作を依頼した「Terumo Group Music」など、全世界に向けた対外発信。それらは3つ目の柱である9月17日の創立100周年記念式典に集約され、当日の様子は多言語でライブ配信された。

2021年9月17日に開催された100周年記念式典。新型コロナウイルス感染症の影響により、世界中の事業所にむけてオンラインでライブ配信された。

100周年記念事業プロジェクトのために全世界から構成されたメンバーたち。
※2020年1月撮影

最大の特徴は、「TSU NA GU」のコンセプト通り一体感醸成を念頭に、「全世界で同じ取り組みをして周年を祝う」という、日本企業としては非常にまれなスタイルを実現したことにある。

それぞれの価値観やバックグラウンドなど、様々なギャップの壁を越える鍵は、真のダイバーシティの実践にあった。

「全世界の担当者が企画検討に参加し、お互いの価値観、状況を理解しながら進めることを意識しました。高頻度のオンライン会議を通じてコミュニケーションが図れたのはコロナ禍だからこそ。

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