また、夏木マリさんへのインタビューの様子、メイキング動画も公式YouTubeで配信中です。動画はこちらから。
*本記事は月刊『広報会議』2022年2月号に掲載したものです。
*本記事は宣伝会議が主催する「
」との連動記事です。
貢献の“場”をつくる役割を担う
─夏木さんがSDGsを知ったきっかけはなんでしたか。
私が東京レインボープライドのライブに参加したことがきっかけです。主催者からお声がけいただいた際、ライブのテーマのひとつに「SDGs」が盛り込まれていたことから、知りました。
─夏木さんが2009年から取り組んでらっしゃる「One of Love」プロジェクトの内容について教えてください。
コーヒーのフェアトレードなどを訴えた小川珈琲のエシカルキャンペーン「コーヒーの詩」。One of Loveプロジェクトではその一環として、2021年6月にYouTube限定配信で夏木さんが、コーヒーを題材とした3編の詩を朗読。視聴したユーザーからの「いいね」の収益、商品の売り上げの一部が途上国支援に使われるという。
このプロジェクトは、エチオピアなどの途上国の子どもたちの教育と、その母親たちに誇りを持って働いてもらえるように1年単位でサポートする活動です。経緯は、元々そうした活動をしていた友人からの誘いがきっかけでした。
その時、支援していた国の子どもたちに会いにも行きました。そこでは、幼い子どもたちが「仕事」か「学校」かの二択を迫られる環境で、教育を当たり前に受けられる日本人(の感覚)からすると非常に驚きました。帰国して友人たちにそのことを話したら、「じゃあ動こう」ということで始まりました。
最近では、生理用ナプキンをエチオピアのバラ園で働く女性たちに、2回に分けて、配布するという取り組みをスタートしたんです。コロナ禍、内戦で2回目はまだ実施できていませんが、今でも友人たちと微力ではありますが活動を続けています。
また、資金調達の方法としては、バラの販売と年に1回、GIG(ライブハウスなどで開催される音楽ライブ)を開催しています。
アーティストの方々に参加をお願いする際、「実は私も何かやりたかったんだけど、何をすればよいか分からなかった」とおっしゃるアーティストの方々がたくさんいらして……。
このプロジェクトはボランティアであり、仕事ではないので、こちらとしては恐縮しながらお願いするのですが、逆に感謝されることがあります。
やはりひとりでは皆さん、そうした活動の機会をつくれない。なかなかね。だからこそ、今後もますます皆さんの力を借りて進めていきたいと思います。
─夏木さんは企業の方々とも協働してらっしゃいますが、企業がSDGsに取り組む上でどのような点を意識した方がよいと思いますか。
「One of Loveプロジェクト」をスタートする2009年以前から、バングラデシュ、エチオピア、エルサルバドルの子どもたちへの支援を続けてきた夏木さん。一方通行の支援だけでなく、その子供たちに会いたいと、バングラデシュ、エチオピアへ旅をし、実際に訪問した。
SDGsの目標のひとつに「つくる責任、つかう責任」がありますが、そこに本気で向き合う企業であ ってほしいと思います。私たち消費者も、モノを買う際、その製造過程において問題はないか、などを吟味するでしょ。本当につくる側も真剣に取り組む必要があると思います。言葉を選ばずに言えば、流行でSDGsに取り組んでいては、活動は続かないでしょう。

