「広告」は10年後、どんな姿をしているのか? テクノロジー・マーケティング・メディアのこれから

3月29日に宣伝会議より刊行の『広告ビジネスは変われるか? テクノロジー・マーケティング・メディアのこれから』(安藤元博著)では、海外の広告ビジネスの潮流、GAFAなど広告ビジネスでも存在感を増すプラットフォーマーの動き、さらに日本の広告ビジネスの成り立ちからの考察を含めて、広告産業が生き残るために必要なビジネスモデルの変革の方向性を導き出します。

ここでは本著の「はじめに」の一部を抜粋しながら、本書の内容を紹介していきます。

「広告」は10年後、どんな姿をしているのでしょうか?

私は「広告」が好きです。

広告が文化の先端を切り拓き、経済成長の一翼を担うようになっていった1980年代。私は広告の世界に憧れて、広告会社での仕事を始めました。以後、バブル経済とその後の「失われた20年」、消費社会の成熟、デジタル・テクノロジーの普及による社会と生活の急速な変化と、広告を取り巻く環境が激変する真っ只中で仕事をしてきました。

「広告」が好きで、この業界に飛び込んだそんな私ですら、いま「広告」は大きな曲がり角にきていると感じています。現代の市場社会の発展を通じて力強く花開いた日本の広告産業ですが、現状に甘え、無為に過ごせば、いつかは痩せ細ってしまうかもしれない…。そういう局面にいるようにも思うからです。

ですが、私は「広告」の力を信じています。いやむしろ「広告」はその可能性を十分に活かすことで、これからの経済社会を牽引する主役にさえなれるのではないかと思っています。しかし、その可能性を発揮するためには、広告産業に変化が必要です。

〝あるべき〞変化を考えるために、いくつかの問いを置いてみましょう。広告産業とはどのように成り立っているのか。どのように成り立ってきたのか。なぜ変化が必要なのか。どのように変化すべきなのか。そもそも「広告」とはいったい何なのか。生まれ変わった「広告」は、新しい経済社会でどんな役割を果たすのか…。

私は広告業界の人間ですがマーケティングを専門にし、また特にこの10年はメディアビジネスおよびテクノロジーの利活用に向き合ってきました。加えて、市場社会の歴史と未来の探求に従事する研究を志す者という側面も持っています。そこで経験してきたこと、考えてきたことを皆さんと共有しながら、一緒にその答えを探りたいと思って、この本を書きました。

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