土地・空間・体験を巻き込む OOHは最も自由度の高いメディアへ

家の中以外で触れるものであれば、全てがメディアとなりうるOOH。クリエイター視点では、どのような活用可能性があるのだろうか。これまで街全体をメディアとしたコミュニケーションを手がけてきた、電通の加我俊介氏が解説する。

不特定多数の“間”に、“気になる”ものを置いてあげる

新型コロナウイルスにより、あらゆるものの価値観が変容したと言われていますが、OOHもまさにそのひとつではないかと感じています。度重なる外出自粛などにより、街から人の姿が消え、街の中の広告媒体であるOOHは、その価値を大きく毀損しました。

しかし、私たちの生活様式同様、未曾有の事態だからこそ新たに生まれる価値観や考え方があります。OOHも“今”を制限されることで“別の側面”に光が当たり、その中で新しい価値が見出されました。正確には、以前からもその価値はありましたが一層重視されるようになりました。それが、従来のテレビCMをはじめとするマス広告のリーチを補完するという発想ではない、「カンバセーション・ソース=話題拡散の起点」としての活用方法です。

媒体視点で考えると、その代表格が渋谷駅前ハチ公広場に設置されている「渋谷憲章シート広告」ではないでしょうか。グランドレベルに設置された大型看板で非常にシェアされやすく(目につきやすく・写真に撮りやすい)、かつニュース番組のお天気カメラに映り込む場所で、テレビやSNSでの二次拡散を通じて、その場にいない人の目にも触れることの多いOOHです。そのため、コロナ禍においても、さまざまなプロモーションで重用されていました。

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