※本記事は『広報会議』2022年6月号の転載記事です。
武田薬品工業 1781年創立
世界約80の国と地域で活動する研究開発型のグローバルバイオ医薬品企業。大阪・道修町で和漢薬の商売を始め、近江商人の売り手よし・買い手よし・世間よしという「三方よし」を重んじた創業者である近江屋長兵衛の思いは、「誠実:公正・正直・不屈」を行動規範とする「タケダイズム」として今も受け継がれている。ともに事業を展開する社員は約5万人。
バイオ医薬品のリーディングカンパニーである武田薬品工業が2021年、創立240周年を迎えた。周年イヤープロジェクトでは、「世界に尽くせ、タケダ。革新的に。誠実に。」というキャンペーンコピーのもと、社内外に向けたブランディングキャンペーンを展開。
2021年3月に複数の社外調査を実施した結果、売却した一般医薬品事業のイメージから脱せていないことや、社員の顔が見えないという課題が表出。サイエンスを要とする同社らしく、客観的なデータに基づいたロジック構築を行い、周年事業の施策を「会社を知ってもらう」「社員を知ってもらう」「仲間(共感してくれるパートナー)をつくる」の3本柱に決めた。
社員自らがアンバサダーに
プロジェクトを進める上で重視したのは、ステークホルダーである社員を巻き込み、“自分ごと”につなげること。「社員自らアンバサダーになってもらうことを主軸に置いたコミュニケーションを意識しました」と話すのは、プロジェクトリーダーを務めるチーフ グローバル コーポレート アフェアーズ オフィサーの大薮貴子氏。実際、周年事業のディスカッションチームには社員240人が自発的に手を上げ、38回のセッションを通じて“自分ごと”につなげるための活発な議論が行われた。
まず、「会社」と「社員」を知るツールとして、コンセプト動画やテレビCM、特設サイトを制作。実際の社員の姿を通じてコンセプトと企業姿勢を伝える発信に注力している。とくに特設サイトは、同社の“サイエンス”を社内外に伝える重要な役割を果たす。
「すべての患者さん(Patient)、ともに働く仲間(People)、いのちを育む地球(Planet)という3つの『P』のためにデータとデジタルの力でイノベーションを起こす、という当社のビジョンを伝えられるようテーマを設定して進めました」と話すのは、グローバルコーポレートマーケティング・ブランディング担当の池井沙織氏。
その言葉通り、iPS細胞を活用した治療薬の研究チーム『T-CiRA』の取り組みや、最先端デジタル技術を取り入れた医薬品製造の舞台裏、異なる3つの部署から集まった社員によるディスカッション、DE&I(多様性、公平性、包括性)の取り組みなど、同社の革新性を紹介するコンテンツが充実。専門用語が頻出しがちな分野だからこそ、誰にでも革新的な取り組みだと分かってもらえる言葉選びを心がけて制作している。




