毎年、約173カ国から参加する巨大なイベントだが、もともとCESは家電ショーとしてスタートした。しかし今日ではテクノロジーとイノベーションのイベントに変化を遂げている。CESでは、スマート家電に始まり、モバイル、自動車、ロボティクス、IoT、AI、XR、そしてWeb3や環境に至るまで、先端的な取り組みに触れることができる。ここで触れることができるテクノロジーは、産業からビジネスモデル、ライフスタイルを大きく変化させることは間違いなく、マーケターにとっても注目すべきイベントだと言える。
コロナ禍を超えて久しぶりに、現地より「アドタイ」視点で、森直樹氏が最新情報をレポートする。
CES2023現地レポート第2弾は、1月4日に行われたプレスカンファレンスの様子をお届けする。昨年のCESから各社が大きく取り上げるようになったサスティナビリティ。今回は、脱炭素をはじめとする、環境への取り組みを中心に、BOSCH、パナソニックのプレスカンファレンスを現地からレポートしたい。
BOSCHのテーマは「すべての人の安全保障」
まずはBOSCHを取り上げたい。登壇したMember of board of mannegement of Robert Bosch GmbhのDr. Tanja氏は、世界はパンデミックに加えて、戦争、インフレ、エネルギー不足、天災など新たな課題に直面していることに触れ、「すべての人の安全保障」というテーマを選んだと解説した。BOSCHはセキュリティ、ウェルビーイング、そして地球の健康を守り、向上させるために、テクノロジーが果たすべき重要な役割を認識しているという。
主役はセンサー、市場規模は2030年に4000億ドル超と予測
カンファレンスの冒頭で、「私たちの生活の中で特に大きな役割を担っているテクノロジーについて話したい」と切り出し、センサーの技術に言及した。Tanja氏はセンサーがなければ、IoT(Internet of Things)も実現しないと、その重要性を強調し、さらにセンサーの機能は増え続け、重要性も日々増していると指摘した。そして、2019年から2030年の間に、世界のセンサー市場規模が2倍以上の4000億ドル超になると予測されるという。
サーキュラー・エコノミーへの対応はIBMとの提携で実現させる
BOSCHは、デジタル化とソフトウェアを活用して、サーキュラー・エコノミーを実現するため、ブロックチェーン技術を活用するという。製造業や自動車分野部品の出所、二酸化炭素排出量、懸念の高い材料など、サプライチェーンを監視することで、全体でサーキュラー・エコノミーを実現するという。
また量子コンピューティングの分野におけるIBMとのパートナーシップ締結に触れ、超強力なコンピュータを活用することで、パワートレインに使用されている貴金属やレアアース代替品の探索を目指すという。さらに同社は、事業活動における二酸化炭素排出量や、ソリューションが人々や地球に与える影響に関して、特別な責任を負っていると説明し、正しい道を歩めば、収益性と持続可能性という2つの時代が両立できることを示したいとのことだ。
