2023年4月4日に宣伝会議より刊行の
「ピープル・ファースト戦略 ー企業・商品・従業員『三位一体ブランディング』」(矢野健一著)
では経営、そしてマーケティングの双方を経験した著者が、企業や商品だけでなく、従業員に投資をし、従業員もブランディングすることで、商品の競争力を高め、企業全体の業績向上に貢献する実践論を解説。理想論ではない、ピープル・ファーストの姿勢を企業の業績につなげる 「三位一体ブランディング戦略」の設計から実践まで詳述しています。
ここでは本書の「はじめに」の一部を抜粋しながら、その内容を紹介していきます。
なぜ日本企業で働く人に元気がないのか
私はバブルが崩壊する直前の1992年に社会人になりました。入社して1、2年目にはやりがいと自信に溢れた、華やかな先輩社員の姿がありました。しかし、バブルが崩壊し日本経済全体が冷え込んでいく中で、入社してきた後輩たちは少しずつ自信とモチベーションを失い、おとなしくなっていった様を今でも鮮明に覚えています。
その間、企業もやる気を失い、動かなくなっていく従業員にモチベーションを与えようと成果主義や能力主義など海外の人事マネジメント手法を取り入れ、それまで日本の主流であった年功序列や終身雇用を撤廃して若い力や外部の優秀な力を活用して不況からの脱却を図ってきました。
バブル崩壊後、先が見えなくなった日本企業は欧米式のマネジメント手法を取り入れ、それまで主流だった終身雇用や年功序列を排除してきました。このこと自体は問題ではありません。日本人の性質など本質を理解しないまま、海外で成功していたマネジメントモデルをそのまま取り入れてしまったことが問題なのです。
皆さんは、日本企業と外資系企業の違いは何だと思いますか? 両方の企業にマネジメントとして長年、従事してきた経験から申し上げると、実は人のマネジメントスキルの違いに行き着きます。
「いやいや、外資系企業こそ人をコストとして扱い、不要になったら切り捨てる、人のことを全く考えていない成果中心のマネジメントスタイルだよね!」なんて声が聞こえてきそうです。