業界や消費者も巻き込み、カーボンニュートラルへの取り組みを行っているダイキン工業。特許の無償開放といった業界全体への貢献や消費者に向けての啓発運動などについてコーポレートコミュニケーション室 広報グループの安部貴史氏と重政周之氏に話を聞いた。
※本稿は『広報会議』2023年6月号の「サステナビリティこれからの伝え方」特集 より抜粋しています。
SUMMARY
❶ 特許の無償開放を発表し業界全体のサステナビリティに貢献
❷ 節電や省エネといった消費者が関心のある切り口で情報発信
気候変動を抑制するための世界的な規約「パリ協定」の締結から8年。温室効果ガスの排出量を実質ゼロ化する「カーボンニュートラル」の実現と企業成長の両立のため、各社が苦心しているのが現状だ。
そんな中、世界的空調メーカーであるダイキン工業は2021年に戦略経営計画「FUSION25」を発表。2050年までにカーボンニュートラルを実現するための実行計画を明らかにした。実現に向け、精力的に行動を続ける同社の背景を、コーポレートコミュニケーション室 広報グループの安部貴史氏は次のように解説する。
「私たちが事業成長と環境課題解決の両立に本気で取り組むのは、自社事業の柱であるエアコンによる環境への負荷が非常に大きいためです。消費電力の大きさと、フロンガスが大気に放出された場合の温室効果。エアコンはこの2大要素を含むため、私たちが率先してカーボンニュートラルに取り組んでいかなければ、世間から『エアコンの存在自体が悪だ』と誤解されかねません」。
特許の無償開放
エアコンは環境影響が大きい一方で、快適で健康的な生活に欠かせない製品であることも事実。そこで同社は、少しでも環境に優しい技術へと切り替え、その普及を図ることに尽力してきた。