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コラム

すきま時間でちょこっと演習『プロジェクトドリル』

プロジェクトドリル2問目「石化を解く薬を開発せよ」(Dr.STONEからの出題)

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資源がプロジェクトに与える影響を考慮する

プロジェクトに取り組んでいると、人手が足りない、時間が足りない、お金も足りなきゃ使えるツールも少なかったり古かったり…、なんていうことに悩まされませんか?

前回のドリルでは成功の定義=勝利条件が決まっていないと、仮説の因果関係があやふやになったり、判断基準がぶれぶれで計画に一貫性を持つことができず、考えて実行しなければいけないことが増えてしまうといった問題が起きることを解説しました。思考と行動の量や範囲を限定することは、プロジェクトを成功に導く計画づくりに必要なことなのですが、勝利条件以外にも「限定」してくれる機能を持つものがあります。それが資源(リソース)です。

人手も、時間も、お金も、設備もプロジェクトの「資源」

資源とは、プロジェクトに与えられているお金や時間、人材(個々のメンバーのリテラシーやスキル、人数)、使用できる有形無形のツール・設備・ネットワークなどを指します。

プロジェクトにおいて人や時間やお金が足りないといったことは日常茶飯事ですが、これらの制約は良くも悪くも「限定」してくれます。使いたいツールがあってもお金が足りなければ使えませんし、人材のスキルが低くても使えません。外部ツールは使わず内製しようとしても、イチからつくり始めると時間が足らなくなります。自分たちの手持ちの資源や条件を無視した計画は実施可能性(feasibility)が低く、失敗する可能性が非常に高くなってしまいます。そこで今回は資源をもとに計画を立てるドリルに取り組んでみましょう。

資源情報を記入する「廟算八要素」

ドリルは前回に続きプ譜で出題します。出題の前に、資源の情報をプ譜のどこに記述するのかを説明します。

プ譜には「廟算八要素」という欄があり、「人」「お金」「時間」といった資源情報を記入する他、「品質」「商流」「環境」「競合」「外敵」といったプロジェクトの条件に関する情報もこの欄に記載します。品質はプロジェクトの成果物に求められている品質やクオリティ。商流はビジネスモデル。環境には会社であれば社内環境や市場、自然環境などの情報を記載します。競合は文字通りの意味で、外敵はプロジェクトの障害になりそうな人物や組織、ルールや習慣、価値観等を記載します。「八」としていますが、必ずこの8 項目を埋めないといけないわけではありません。不要あるいは書けない項目を書く必要はなく、上記の項目以外に必要な項目があれば追加してかまいません。

実データ グラフィック プロジェクトドリル 2問目「石化を解く復活液を製造せよ」

プロジェクトドリル 2問目「石化を解く復活液を製造せよ」 難易度★☆☆

今回は漫画「Dr.STONE」からの出題です。あなたは全人類が石化してしまった世界で、科学者と共に石化を解く薬(復活液)を製造していた11歳の少女です。ある日科学者も石化してしまい、薬の製造は少女一人に託されてしまいました。少女は正統な科学技術に関する教育を受けていませんが、科学者の傍らで薬の製造方法を目にしてきました。幸運にも製造用の機械や装置の他、科学者が残してくれた製造工程のメモが残っており、そこに書いてある字を読むことはできます。

復活液をつくる肝となるのは硝酸を手に入れることです。硝酸の製造方法には以下の3つがあります。

  • ① オストワルト法でつくる
  • ② アーク放電による二酸化窒素を生成してつくる
  • ③ 糞を原料にする製法でつくる
実データ グラフィック プロジェクトドリル 2問目「石化を解く復活液を製造せよ」

このドリルの趣旨は製法を正しく理解することではなく、人材の知識や技術という資源が、プロジェクトに与える影響を疑似体験することにあります。

1と2の方法を採用するには、共に科学的な知識や技術が必要ですが、そのぶん早く製造することができます。幸いにもこの方法に必要な器材は残っています。3は動物の糞を集め、1年かけて製造することになるので時間がかかります。

さてここで問題です。みなさんが少女自身だとして、どの方法を選ぶでしょうか?そして、その方法を選ぶことで、どのような結果が想定されるかを考えみてください。

実データ グラフィック プロジェクトドリル 2問目「石化を解く復活液を製造せよ」 薬の製法

解説

この演習の元となった物語で、少女は①と②の方法に取り組みますが、操作方法を誤って感電したり製造中に薬品が暴発してしまったりします。いくら字が読めて科学者の製造の様子を見ていたとしても、機材を扱う知識や技術が伴っていなければ、自分が望む方法を採用することはできないということです。自分の技術・知識では復活液をつくることはできないと悟った少女は、最後に③の方法を選択します。この方法は専門的な機器の操作を必要としない最も簡単なものでしたが、原料として臭い糞を集めなければいけないことや、生成に1 年かかることから少女が最も採用したくない方法でした。これには「早くみんなに会いたい」という気持ちも影響しています。生成に1年かかるというのは年に何度もチャレンジできるということではなく、年に1回しかチャンスがないということです。1年目での製造に成功しなかった少女は何度も試行錯誤を経て、結果的に7 年かけて復活液を完成させました。

ちなみに、少女が復活液を完成させて真っ先に石化を解いたのはこの物語の主人公である科学者で、彼は①の方法を用いてたった1 日で復活液をつくり上げてしまいました。

実データ グラフィック プロジェクトドリル 2問目「石化を解く復活液を製造せよ」

ドリルの元となった物語では少女以外の人間は石化されており、石になっている分には死にはしないので、時間はいくらでも与えられています。しかし、実際のプロジェクトではあらゆる資源は有限です。自分やメンバーがいくら使用したい手段があっても、知識や技術が追いついていなければ、貴重な時間やお金を浪費してしまうことになります。

まとめ

  • ✓資源は良くも悪くもプロジェクトの計画を限定してくれる
  • ✓身の丈に合った手段を採用せよ
  • ✓資源と手段のミスマッチが、プロジェクトに悪影響を与える
実データ グラフィック プロジェクトドリル 2問目「石化を解く復活液を製造せよ」

このドリルで参照した書籍・Webコンテンツ

『Dr.STONE 22』(ジャンプコミックス)

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『プ譜』についての詳細はこちら

『予定通り進まないプロジェクトの進め方』 (前田考歩・後藤洋平著)

ルーティンではない仕事はすべて「プロジェクト」である――独自のフレームワーク「プ譜」を使って、プロジェクトの状況や諸要素の関係性を構造化し、成功に導くための方法を解説。プロジェクトの全体像を俯瞰し、進行の技術を身につけるための実践書。

「プ譜」の解説動画はこちら

 

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