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コラム

すきま時間でちょこっと演習『プロジェクトドリル』

プロジェクトドリル3問目「片手で納豆を食べよ」

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要素と状態の「抜け」はプロジェクトにどう影響するのか

新しいプロジェクトに取り組むとき、目標達成や課題解決のために何が必要で、何からどうすれば良いかという設計図やマニュアルはありません。まだ始まっておらず、形もないプロジェクトの最初の仮説・計画を立てるとき、みなさんはどんなことを行うでしょうか?

関連する書籍を読んだりセミナーを聴講したりして情報収集や調査に時間をかけるのが一般的ですが、未然で未形、かつ未知なプロジェクトでは、どうしても本来あるべきモノゴトの見落としが起きます。

プロジェクトは様々な有形無形の要素から構成されており、構成要素どうしがつながって構造をかたちづくっています。これらの要素のうち、何かを見落としていたり、ある要素がプロジェクトの成功にとって「望ましくない状態」になっていると、プロジェクトが思うように進まなくなります。今回のドリルでは、この見落としを仮説段階でできるだけ防ぐトレーニングを行いましょう。

要素と状態を記入する「中間目的」

要素とその状態は、プ譜では「中間目的」に該当します。中間目的とは、プロジェクトを構成する要素のことで、プロジェクトの勝利条件を実現するためにその要素が「どんな状態になっているべきか?」を定義します。書き方としては○枠の中に状態を記入しますが、 ○枠の傍に別途「□□の要素」と追記してもかまいません。


写真 イメージ 「中間目的」

要素には有形無形のものがあります。システム開発であれば、「UI(ユーザーインターフェース)」「速度」「運用負荷」「安全性」などがあり、家電製品であれば各種の「機能」「使いやすさ」「重さ」「耐久性」など。コロナのワクチン接種プロジェクトであれば「医療従事者の士気」「接種の効率性」「予約のし易さ」などがあります。

状態とはこれらの要素の「ありさま」や「ふるまい」のことを言います。状態は定性的にも定量的にも表現することができます。システム開発の「UI」であれば、「ITリテラシーが低い人でも直感的に操作できている」という表現や、「1ページあたりのフォーム入力時間が○分以下になっている」といった表現です。「要素という容れ物が、どういう状態で満たされていれば良いか?」と考えるとわかりやすいです。


写真 イメージ 「UI」

プロジェクトドリル 3問目「片手で納豆を食べよ」 難易度★☆☆

みなさんはある日、片手をケガしてしまいました。しばらくの間、生活も仕事も残る手一つでこなさなければいけません。そんな中で、夕食に下図のようなパッケージの納豆を一パック食べようと思ったとします。


写真 イメージ 納豆

片手で納豆をかき混ぜて食べるのは初めての経験です。フタを開けてから納豆をかき混ぜて食べるまで、どのような「状態」が必要か、下から順に中間目的の欄に書き込んでみて下さい。

書き方のコツは「○○が○○になっている」という表現にすることです。


写真 イメージ 片手で納豆をかき混ぜて食べる

解説

みなさんはどのような状態を書けたでしょうか?「フタがあいている」から始まって、「フィルムがはがれている」→「調味料の袋が切れている」、といったふうに書き込まれているのではないかと思います。このドリルは私のプロジェクト研修でもよく出すのですが、半分以上の方が、ある状態を見落としていて調味料を入れた納豆をかき混ぜられません。

その状態を見落としていることで、どのように納豆をかき混ぜられていないか、次の動画をご覧ください。

パッケージが箸の動きに合わせてくるくる回ってしまいかき混ぜることができません。このような「あるべきではない」状態になっている原因は、「パッケージが固定されている」という状態が抜けているからです。


写真 イメージ 片手で納豆を食べる

納豆を食べるという慣れ親しんだ行為であっても、片手しか使えないという未知の状況におかれると、大事な要素とその状態を見落としてしまいます(或いはその可能性が高くなります)。

プロジェクトの仮説・計画を立てる行為は、まだ始まっておらず(未然)、形もない(未形)なかで行う難しい作業です。仮説には「予測」が含まれますから、当然大なり小なり見落としは起きます。それでも仮説段階でこれらの見落としを一つでも多く発見すれば、プロジェクトの失敗の芽を潰すことができます。

そのためには、未来の目標を実現しているとき及びその過程の状態を“ありあり”と想像すること。それを言葉にして書き出し、順に並べてみること。できれば一人だけでなく、プロジェクトに関係する人々と一緒にこれらの作業を行う(レビューする、レビューを受ける)といったことが効果的です。また、モックアップやプロトタイプなどを時間とお金をかけずにさっさと作って、早く小さく試すことで、これらの見落としを発見する可能性とスピードが高まります。さらに、必要と思っていた要素が実は不要だったというムダや、要素間の矛盾なども発見することができます。それにより余計なコストの支払いも防止することができるのです。

 

まとめ

  • ✓未知のプロジェクトではどうしても見落としが発生する
  • ✓状態をありありと想像して表現したり、さっさと小さくつくることで、早い段階で見落としを発見せよ
  • ✓見落としを早く発見することでコストの浪費を最小限にすることができる

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このドリルで参照した書籍・Webコンテンツ

竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学)

『プ譜』についての詳細はこちら

『予定通り進まないプロジェクトの進め方』 (前田考歩・後藤洋平著)

ルーティンではない仕事はすべて「プロジェクト」である――独自のフレームワーク「プ譜」を使って、プロジェクトの状況や諸要素の関係性を構造化し、成功に導くための方法を解説。プロジェクトの全体像を俯瞰し、進行の技術を身につけるための実践書。

「プ譜」の解説動画はこちら

 

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