計画のヌケモレを防ぐには?プロジェクトドリル03「片手で納豆を食べよ」

本コラムでは、プロジェクトマネジメント力を高めるために必要な思考の型・原則・技法を身につけるドリル(練習問題)を、「プ譜」という共通フォーマットを使用して提供します。出題のネタは、古今東西のビジネス事例、歴史上の出来事、SNSで話題になった事例、マンガなどから幅広くピックアップ。すきま時間で楽しく取り組みながら、プロジェクトの計画立案や意思決定の力を高めることを意図しています。今回は誰もがよく知る納豆を題材に、未知のプロジェクトではどうしても起きてしまうヌケモレを防ぐための方法を考えます。

今回のドリルで鍛える力(ドリルの狙い)
・プロジェクトに必要な要素を洗い出す力
・要素の「あるべき状態」を定義する力


こんな問題に心当たりがある人にお薦め
・立てた計画によくヌケモレがある

プロジェクトドリル3問目「片手で納豆を食べよ」
難易度★☆☆

ドリルのシチュエーション

みなさんはある日ケガをして、片手が包帯でぐるぐる巻きになってしまいました。しばらくの間、生活も仕事も残る手一つでこなさなければいけません。そんな中、夕食に下図のようなパッケージの納豆を食べようと思いました。


写真 イメージ 納豆

片手で納豆をかき混ぜて食べるのは初めての経験です。納豆をかき混ぜて食べるというプロジェクトを成功させるための要素には、パッケージのフタ、カラシやタレ、納豆とカラシなどがくっつかないようにするフィルム、かき混ぜるための箸などの道具といった「要素」があります。これらの要素はプ譜の「中間目的」欄に該当します。


写真 イメージ 片手で納豆をかき混ぜて食べる

プロジェクトの計画づくりでは最初にこれらの要素をヌケモレなく洗い出すことが必要なのですが、大事なのは要素が「どのような状態になっているか?」の定義です。

「フタという要素がどんな状態になっているか?」「タレやカラシがどうなっていないと、次の段階に進めないか?」といったことを定義しなければなりません。

問題

フタを開けてから納豆をかき混ぜて食べるまで、どの「要素」がどんな「状態」になっていないといけないかを下のプ譜に記述したのですが、大事な要素と状態が1つ抜けています。それが何か考えて下さい。

解答と解説

このドリルは私のプロジェクト研修でもよく出すのですが、半分以上の方が、ある状態を見落としていて調味料を入れた納豆をかき混ぜられません。

その状態を見落としていることで、どのように納豆をかき混ぜられていないか、次の動画をご覧ください。

パッケージが箸の動きに合わせてくるくる回ってしまいかき混ぜることができません。このような「あるべきではない」状態になっている原因は、「パックが固定されている」という状態が抜けているからです。


写真 イメージ 片手で納豆を食べる

ドリルの教訓

納豆を食べるという慣れ親しんだ行為であっても、片手しか使えないという未知の状況におかれると、大事な要素とその状態を見落としてしまいます(あるいはその可能性が高くなります)。

プロジェクトの仮説・計画を立てる行為は、まだ始まっておらず(未然)、形もない(未形)なかで行う難しい作業です。仮説には「予測」が含まれますから、当然大なり小なり見落としは起きます。それでも仮説段階でこれらの見落としを一つでも多く発見すれば、プロジェクトの失敗の芽を潰すことができます。

そのためには、未来の目標を実現しているとき及びその過程の状態を“ありあり”と想像すること。それを言葉にして書き出し、順に並べてみること。できれば一人だけでなく、プロジェクトに関係する人々と一緒にこれらの作業を行う(レビューする、レビューを受ける)といったことが効果的です。また、モックアップやプロトタイプなどを時間とお金をかけずにさっさと作って、早く小さく試すことで、これらの見落としを発見する可能性とスピードが高まります。さらに、必要と思っていた要素が実は不要だったというムダや、要素間の矛盾なども発見することができます。それにより余計なコストの支払いも防止することができるのです。

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このドリルで参照したWebコンテンツ

竹林 崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学)

『プ譜』についての詳細はこちら

『予定通り進まないプロジェクトの進め方』 (前田考歩・後藤洋平著)

ルーティンではない仕事はすべて「プロジェクト」である――独自のフレームワーク「プ譜」を使って、プロジェクトの状況や諸要素の関係性を構造化し、成功に導くための方法を解説。プロジェクトの全体像を俯瞰し、進行の技術を身につけるための実践書。

「プ譜」の解説動画はこちら


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前田考歩(プロジェクトエディター)
前田考歩(プロジェクトエディター)

1978年三重県生まれ。平日8:00〜10:00のみ開業の、問いかけと構造化でプロジェクト進行を支援する『プロジェクト・クリニック』を運営。
自動車メーカーの販売店支援・CSR事業、映画会社のeチケッティング事業、自治体の防災アプリ、保育園検索システム、夫婦の育児情報共有アプリ事業、魚の離乳食的通販事業、テレビCM制作会社の動画制作アプリ事業など、様々な業界と製品のプロジェクトマネジメントに携わる。
プロジェクトに「編集」的方法を活かした、プロジェクト・エディティングを提唱、実践中。
著書に『紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本』(翔泳社)、『予定通り進まないプロジェクトの進め方』『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』(宣伝会議)、『ゼロから身につくプロジェクトを成功させる本〜はじめてのプロジェクトマネジメント〜』(ソーテック社)など。

前田考歩(プロジェクトエディター)

1978年三重県生まれ。平日8:00〜10:00のみ開業の、問いかけと構造化でプロジェクト進行を支援する『プロジェクト・クリニック』を運営。
自動車メーカーの販売店支援・CSR事業、映画会社のeチケッティング事業、自治体の防災アプリ、保育園検索システム、夫婦の育児情報共有アプリ事業、魚の離乳食的通販事業、テレビCM制作会社の動画制作アプリ事業など、様々な業界と製品のプロジェクトマネジメントに携わる。
プロジェクトに「編集」的方法を活かした、プロジェクト・エディティングを提唱、実践中。
著書に『紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本』(翔泳社)、『予定通り進まないプロジェクトの進め方』『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』(宣伝会議)、『ゼロから身につくプロジェクトを成功させる本〜はじめてのプロジェクトマネジメント〜』(ソーテック社)など。

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