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コラム

マーケティング×デジタル人材になる! 私の「自育論」

休日のルーティンが仕事の成果に影響する!? デジタル人材のオフの過ごし方

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マーケティング×デジタル×プロジェクトマネジメントを兼ね備えた人材を目指すあなたへ、成長のヒントを様々な切り口で解説していく本コラム。最終回の今回は「プライベートの過ごし方、得られるもの」についてお話しします。

ライバルを出し抜きたい、職場で頭ひとつ抜けだしたい。そんな他人と差をつけるのに手っ取り早い方法は、みんなが遊んでいるとき、寝ているときに行動することです。人材力の差別化は才能というより、結局は行動の総量と質によるので、プライベートの時間の使い方が理想の姿へのターニングポイントになるかもしれません。

人と差をつける休日のルーティン

私は休日の午前中にルーティン化していることがあります。ひとつは、「マーケティング脳を鍛える連想ゲーム」をする。もうひとつは、短時間で書籍を読み終える「スピード読書」です。

まず前提として、脳のパフォーマンスが一日で最も良いとされる午前中は行動にうってつけ。絶対に逃せません。休日という落ち着いた環境下でも、その時間帯に思考を回すことで効率の良いインプット・アウトプットができます(私は平日の仕事でも、その日に考える作業の80%を午前中に片づけるようにしています。おすすめです)。

マーケティング脳を鍛える連想ゲームは、「自分がその商品を買った理由」を言語化してインサイトを探る遊びです(ゲームと言うわりにゲーム性はそれほどありません…)。購入動機のマインドマップを作るイメージですね。例えばメルマガ経由で、ある自社ECサイトでアウターを購入したとします。それは、なぜ店舗でもなく他社ECサイトでもなく、自社ECサイトで買ったのか?なぜメルマガを開封したのか?バナーをタップしたのか?そもそも製品の何が決め手だったのか?似た製品はあるけどそれに決めた理由は?

他の行動ではなく、なぜそのステップで購入に至ったのかを思い出して書き出します。メルマガの機能的なタイトルに惹かれた、サイズは把握しているので試着の必要はなくECで購入した、施策が魅力的だった、ポイント付与率が魅力的だった、出荷スピード重視だった、在庫僅かで焦ったから…など、様々な考えが出てきます。

このとき、例えば自分はポイント付与率に惹かれたのに、実は普段はそのサイトであまり購入をしないなど、矛盾した行動をとることがあります。つまり、ユーザーの行動は必ずしも合理的ではないという気づきがあります。そうした複数の気づきから、施策を出す側はユーザーの性質を踏まえて打ち出しを考えるネタになり、顧客側の自分も行動を振り返るきっかけになります。

そして、これはそのまま顧客視点の定性データになります。自分の行動だとしても、いちユーザーとして購入要因まで掴めれば、しめたものです。マーケティングは消費者の心理を想像して施策を考えることもあるので、消費者心理を想像する訓練になります。自分のネタがなくなったら、主語を第三者に変えてヒアリングしましょう。可能なら、言語化したことを誰かに聞いてもらえるとベストです。第三者に説明して、もし矛盾点を指摘されるなら、それもまた思考を深めるチャンスです。地味な方法ですが、考えるクセが手軽に身に付くのでおすすめです。

次にスピード読書ですが、ポイントは「一冊をちゃんと読まない」ということです。70%の読了率を目標に、途中で興味がない章は飛ばしても構いません。とにかくスピードを意識して、一日で一冊を読み切ります。私の肌感ですが、本は数日かけて読むとインプット力が弱まるので、一日で読み切る方が浸透の効率性は高い(難しければ数日に分けますが、とにかく急ぐ)。一度読み終えて理解が足りなければ、もう一度同じスピード感で読みます(繰り返し読むことで浸透性を高める)。

興味がある章というのは、そのときの自分に必要な情報なので興味があるのです。そのため興味がない章は、そのときは読み飛ばしても構いません。ただし、書籍は推敲を重ねて出版されているので全体の構成が優れており、一貫性があるので、最後まで読んだ方が収穫はある。そういう意味でも短時間で読み切ることが大切です。

このとき、休日なのでストレスを感じないように気楽な気持ちで読むことがポイントです(義務的な気持ちになった瞬間からこの試みは途絶えます…)。あえて完璧に読まないというスタンスが、バイアスを抑え、休日のルーティンを支えてくれます(読んだという実績が小さな成功体験になって自信に変わる部分もある)。ご自宅に新品の本が積みあがっている方、ぜひお試しください。速読の訓練にもなるので、おすすめです。

日頃の疑問を、知識に変える

デジタル人材になるといっても、領域が広すぎて何から手をつければ良いのか分からないですよね…。デジタル専門人材であれば、オンライン学習や専門書でそれなりに適切な順序で物事を学べるとしても、プロジェクトマネージャー(PM)など事業全般を推進する役割であれば、その広い領域に対して適切な順序で物事を学ぶことは現実的に難しい(方法はあっても時間がかかり過ぎます)。結局は、業務で求められる知識や動き方を、その都度いかにインプットできるかによりますが、私は駆け出しの頃、日常で感じる疑問を紐解く行為が意外と役に立ちました。

例えば、毎日PCでログインするECサイトがあるとします。でもログイン情報はすでに反映されているので毎回入力することはしない。でもある日、スマホでログインをしようとしたらログイン情報を求められた。なぜだ?調べてみると、これはCookie(クッキー)というものが関係しているのか。なるほど。そもそもCookieってなんだろう。端末およびブラウザごとにユーザーの入力情報や行動履歴を記録するファイルで、それによりログイン情報が保存されているのか。ふむふむ。みたいな…(人に質問できないくらい初歩的な内容ほど効きます)。

唐突にCookieの話をしてしまいましたが、私はこうした行為をあらゆる物事に対して現在まで延々と繰り返しています。体系的に学べるものは学びますが、そうでないものはひたすら点の知識を蓄えるしかない。すると、それがある日突然、線になります。この方法のデメリットは点の知識をすぐに体系的に理解できないことですが、逆にメリットは広大な領域に対して点ながらも知識が広がることです。特にPMは「狭く深く」より、「とにかく広く」知識を扱うので、この方法が役に立ちます。

訪問先でインナーマーケティングを想像する

15年ほど前の話です。ある休日の19時頃、私は渋谷公園通りのAppleの店前で友人と待ち合わせをしていました。その日は雨が降っていて、待ち行く人もAppleの店内も人はまばらでした。私は何気なくAppleの店内を眺めていたのですが、少し違和感を覚えました。

Appleのストアスタッフは誰一人おしゃべりをすることなく、掃除や片づけ、品出しをしていたのです。当たり前なことに思えるかもしれませんが、なぜ違和感を覚えたのかというと、私は学生時代にドラッグストアでアルバイトをしていたのですが、19時という時刻は気持ちがダレる非常に危険な時間帯であり、私は店内にお客さんがいなければスタッフ同士で頻繁におしゃべりをしていました(あらためて文章にすると恥ずべき行為ですね…)。

しかし、同じ状況でも誰一人ダレない姿に、私はちょっとした衝撃を受けたのです。友人を待つ間、その理由を考えました。結論、「Appleというブランドで働いている誇り」だと思ったのです。世界的に絶大な人気があり、自分が好きな偉大なブランドで仕事をしている誇り。それを糧に全員が懸命に働いているように思えたのです。

Apple社がどのようなインナーマーケティングを行っているかは存じませんが、求心力のあるブランドには、現場のスタッフの行動も統制する力があるのだと感じました。ブランディングの神髄を販売の最前線で目の当たりにした気がしたのです。良い光景を見れたなと思いました。このように街中で偶然、目にしたことでも構わないので、ブランド側の背景や事情を想像してみてください。隙間時間にマーケティング脳を刺激するひとつの方法になります。

メタ認知力で、感情と言動をコントロールする

マーケティングにも、デジタルにも、プロジェクトマネジメントにも(もっと言うとすべての仕事に)共通して活かせる能力があります。それは「メタ認知力」です。メタ認知とは、ひと言でいうと自分を客観視する能力です。

例えば、自分はなぜオレンジジュースが好きなんだろう?自分はなぜデジタル人材になりたいのだろう?と考えることです。いわば、課題を分解する力です。これがなぜ役に立つのかというと、メタ認知力が低ければ、自分の感情を優先して感情的な言動を取りやすかったり、柔軟な行動ができない、自分の短所を理解できないといった面が目立ち、仕事を推進することが難しくなります。

一方で、メタ認知力が高い場合、なぜ頭にきたのか?を客観的に考えられるので自分の感情をコントロールできます。周囲との距離間が適切になり、課題の抽出や物事の冷静な判断も可能となります。メタ認知力の良いところは、後天的に能力を強化できる、つまり今日から改善できることです。(ただし、高めすぎると自意識過剰や過度なプレッシャーを感じるデメリットもあるのでご注意ください)。

強化方法は、瞑想やセルフモニタリングなどいろいろありますが、取っ掛かりやすいのは自分の行動の振り返りを習慣化することです。例えば、トラブル対応を行った際、どんな状況だったか、どんな思考でどんな行動をしたか、そしてどうすべきだったかをブログなどに書き出します。自分の行動や考えを言語化して振り返ることが、客観視の訓練になります。

または、会議のファシリテーターをした際の音声データを聞き直すことも効果的です。上手に話をまとめたなら成功事例の確認になる。話をまとめられなかったら、自分はどうすべきだったかを考えるきっかけになります。とにかく、自分の言動に第三者視点で向き合う。それを繰り返すうち、自分に向いていたベクトルが徐々に外側に向き始めます。

人は自分の言動が正しいと思いがちですが、ダメな部分もあることを理解しないといけません。しかし他人からは指摘されたくないという、なんともややこしい感情がありますが、自分で見つめた内容なら向き合えます。ある意味、殻を破る行為ですね。

デジタルデトックスの時間をつくる

行動の総量が差別化になる一方で、いかに身体と心と脳を休ませられるかが、行動の効率性の決め手になります。現代ほどデジタル機器に囲まれる時代はありません。だからこそアナログな世界に身を置いて内面を整える気配りが欠かせないのです。

デジタルデバイスに触れている間の脳は、交感神経が優位な、いわゆるONの状態でこれは戦闘態勢のようなものです。もちろん仕事や勉強に必要ですが、この状態はストレスも感じやすい。長期的に身体と心と脳のパフォーマンスを維持するために副交感神経を優位にする時間も確保しながら、バランス良く過ごすことが現代人の課題でもあります。

リラックス状態はアイディアの宝庫です。私はベタですが、スーパー銭湯でサウナ、水風呂、炭酸泉に浸かることを絶対に守るルーティンとしています(これを邪魔されたら、たぶんかなり機嫌が悪くなります…笑)。風呂に浸かっている間は暇なので仕事や悩みについて考えるのですが、そこで思いついた考えは、ほとんどがうまくいきます。不思議。

リラックス状態はアイディア以外にも、自分が追い詰められたときに余白を作り出す手助けにもなるので、ぜひ確保するようにしましょう。あと、寝る前のスマホは止めましょう。睡眠の質が下がります。

強烈なリーダーシップを発揮する存在を目指して

今回、マーケティング×デジタル×プロジェクトマネジメントの掛け合わせスキルの人材育成をテーマに、様々な切り口でお話しをさせていただきました。皆さんが行動するきっかけになれば、それはそれは嬉しいですが、最後にひとつだけ意識してほしいことがあります。

それは、調整型人材で終わらないようにしてください、ということです。デジタル事業では情報の流れる速度や複雑性から、プロジェクトのステークホルダー全員が同じ水準の認識を持つことは難しいという永遠の課題があります。だからこそ調整役ができる人材は貴重で超重要なのは言わずもがなですが、しかしそこが目指すべきキャリアのゴール地点ではないと思うのです。

人材としては調整役もこなしつつ、自分の揺るぎない考えを全関係者に浸透させながら、強烈にリーダーシップを発揮してプロジェクト全体を推進する人材こそが最も価値があります。私が見てきた成功したプロジェクトも、内部で喧嘩的な論戦を繰り返してでも、自分の確固たる考えの下でリーダーシップを発揮したプロジェクトこそが成功しています(プロジェクト品質に妥協がない)。

社内の意見を綺麗にまとめるだけでは、高品質なサービスは生まれません(最悪、妥協の産物になる)。自分の考えが絶対に正しいと言えるほど知見を積み、周りを巻き込んでプロジェクトを先導する人材として、この仕事は社内で自分しか対応できないと自負できるレベルを目指すことが、目標設定としては正しいと思います。

このコラムをご覧の皆さんは、現状に悩んでいる方や、これからのキャリアを具体的に描こうとしている方が多いと思いますが、目指す頂はぜひとも高く広く、設定をしていただきたいです。目標に向かっている人間は躍動するので、日々の生きがいが増えますしね。この世に次々と誕生する新しい技術やサービス、考え方を楽しめるようになったら、もうこっちのもんです。またひとつ、自分が主役になれるかもしれない領域が誕生したことを喜びながら、知見の蓄えに励みましょう…!

皆さんのこれからのキャリアが充実したものになることを願いながら、今回のコラムを終えたいと思います。

これまでコラムをご覧いただき、ありがとうございました。

またどこかでお会いしましょう…!

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