信濃毎日新聞社は4月23日、カイコのさなぎが入ったポップコーンを発売する。そのまま火にかけて調理するタイプで、初回生産量は400袋。信濃毎日新聞社で、新規事業の開発を担うビジネス開発局が担当。22日の発表時点で「すべり出しは好調」(信濃毎日新聞社ビジネス開発局)。追加生産にも期待をかける。信濃毎日新聞社は2022年から、「昆虫食」をテーマに、商品開発やイベント開催などを続けている。
博報堂と開発
さなぎは、長野県岡谷市の製紙工場「宮坂製糸所」のカイコのもの。黒こしょうで味付けし、1商品につき約15匹用いている。岡谷市は明治から昭和初期にかけ、日本の生糸生産量の3分の1を占めるなど、近代製糸業で知られた地。宮坂製糸場は昭和3年創業で、現在も年間約1トン(織物で約1000反分)を生産している。
商品名は「飛んで火に炒る夏の虫 BLACK PEPPER」。価格は70グラム入りで650円(税込)。博報堂が企画し、自主提案した。同社は商品のPRやパッケージデザインも担当。信濃毎日新聞社は製造・販売を担う。委託製造先はクローバー(神奈川・相模原)。
「家族や友人などと一緒に、バーベキューなど屋外でも楽しんでほしい。これまで昆虫食に縁がなかった方々との接点になるような体験を提供できれば」(信濃毎日新聞社ビジネス開発室)
信濃毎日新聞社は2022年から「昆虫みらいプロジェクト」として、昆虫食の商品開発やイベント開催などに取り組む。2023年に発売した「信州ミライカレー」も好調だ。地元の鹿肉と食用カイコを使ったパウチ入りのレトルトカレーで約1000食分を製造。信濃毎日新聞社長野本社のほか、土産物店や道の駅、ゴルフ場など県内の30カ所に取り扱い店舗を広げており、間もなく完売する見込み。
「昆虫みらいプロジェクト」を手がけるのは、信濃毎日新聞社のビジネス開発局だ。紙やデジタルのメディア事業、広告事業以外の新規事業を担う「ビジネス開発室」として、2019年に設置。今春に「局」として昇格した。「昆虫みらいプロジェクト」以外にも複数のプロジェクトを立ち上げている。




