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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

映画『笑いのカイブツ』は、死相が出るほどの過酷な撮影だった(岡山天音)【前編】

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【前回コラム】語り出すと止まらない!櫻坂46の魅力(遠山大輔)【後編】

今週のゲストは、映画『笑いのカイブツ』で主演を務めた俳優の岡山天音さん。「伝説のハガキ職人」と呼ばれ、笑いに取り憑かれた実在の男「ツチヤタカユキ」を演じたこの映画の撮影は、実はとてもハードで…。リアルな現場でのエピソードを話していただきました。

今回の登場人物紹介


写真 人物 権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、岡山天音、中村洋基
(左から)権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、岡山天音、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)

※本記事は2024年1月7日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

澤本さん脚本のドラマにも出演の岡山天音さん、2回目の登場!

中村:今回のゲストは、この番組には1年半ぶり、2回目のご登場です。俳優の岡山天音さんです。よろしくお願いします。

岡山:岡山です。よろしくお願いします。

中村:前回は2022年に、澤本さんのご紹介で。舞台『ヴァンプ・ショウ』(脚本:三谷幸喜)に出られていたときかな。

岡山:そうです。

中村:あの舞台、めちゃくちゃ面白かったですね。

岡山:ありがとうございます。

権八:あと、澤本さんのドラマにも出ていたんですよね。

中村:そうそう。ちょうど2023年1月に、澤本さん脚本のドラマ『やっぱそれ、よくないと思う。』(テレビ朝日)に出演されていて。

岡山:そうですね。

澤本:ありがとうございました。

岡山:ありがとうございます。こちらこそです本当に。

澤本:あのドラマの感想を聞くと、みんな「岡山くんが良かった、すごかった」って感想ばかりだったね。誰も脚本を褒めてくれない。

全員:あははは!

中村:いいじゃないですか、そういうもんですよ。あれ素晴らしかったですよね、本当に。

澤本:ね。おかげで本当に助かっちゃった。

岡山:いえいえいえ。本当に楽しかったです。

澤本:前回の収録の時は『ヴァンプ・ショウ』のまんまの髪型で出てくれましたもんね。

岡山:そうですね、撮影時期と『ヴァンプ・ショウ』の地方公演が被ってて、たまに東京に帰ってきて撮影して、また地方に戻るみたいな感じだったので。だからちょうどまんまでしたね。

澤本:ありがとうございます。

中村:はい。いろいろ積もる話はあるんですけど、まず毎回ゲストの方にお願いしている「20秒自己紹介」をお願いできればと思います。この「すぐおわ」は広告の番組ということで、ご自身の自己紹介をラジオCMの秒数20秒に合わせてやってくださいというコーナーでございます。

中村:いきます、では、どうぞ!

岡山:岡山天音と申します。俳優をしております。好きな食べ物はグミです。好きな色は黒です。嫌いな食べ物はありません。(ナレーション:5秒前、4、3、2)天音です。

全員:あはは。

岡山:意外と余りますね。

澤本:あ、秒数ね。

中村:非常に自然体な。

岡山:難しいな。何かがっつり自己紹介するには短いですもんね。でもちょこちょこ言うには、グミとか言うには長いっていう。

権八:そうですか?グミはもう持ち歩いてるみたいな感じですか。

岡山:持ち歩いてはないんですけど、新しいのが出ると必ず食べますね。コンビニって入れ替わりが激しいじゃないですか。やっぱグミも激戦で、消えゆくグミと新しく誕生するグミとがあるので。なかなか大変だなと思いますよね。

権八:最近の新規軸というか、天音さんの推しグミとかってあるんですか。

岡山:あーーーー。

権八:すごい考えてる。長考。

岡山:推しグミ……推しグミはないですね(笑)。

『笑いのカイブツ』は笑いに取りつかれた男の一代記

中村:2024年の1月に、天音さんが主演を務める映画『笑いのカイブツ』が公開されまして(監督:滝本憲吾)。

これは伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキさんの私小説というかほぼ実話である『笑いのカイブツ』(2017年、文藝春秋)という作品が原作とのことなんですが、改めてどんなお話なのか、天音さんから説明していただけますか。

岡山:一言で言ってしまうと、笑いに取りつかれた男の一代記ですね。実際に原作者のツチヤタカユキさんもそうだったらしいんですけど、5秒に1本、1日起きてる間はネタを書き続けるっていうノルマを自分に設けて、ひたすらネタを生産し、当時あった大喜利番組にそれを投稿し、採用されていくごとに自分の番組内での位みたいなものが上がっていくんですけど、登り詰めていくところからお話が始まります。

彼は…何というか、人類とディスコミュニケーションというか、うまいこと自分以外の他者と繋がれないモビルスーツで生まれてきてしまった男なんですよ。そこでお笑いに全振りして、何とか社会と接点を見出そうとする。そうして必死に生きていた男のある一時期を描いた作品ですね。

『笑いのカイブツ』予告編

中村:ありがとうございます。そうですね、このツチヤタカユキさんっていう構成作家さんがあまりにもネタに対してピュアで、それゆえに人間関係がうまくいかないという半生と苦悶を描いたものすごい熱い映画だなと中村も感じたんですけど、初めて原作を読んだときの印象って覚えてますか。

岡山:もう数年前になってしまって、かつ今作に関してはそこからの過程がもうとにかく濃かったので、ファーストインプレッションのイメージはおぼろげなんですけど、実在する方の、ほぼ実話のようなお話で、ツチヤさんってラジオの放送作家をやられてた時期もあって、僕そのラジオのリスナーだったので、彼の存在は知ってたんですよね。ただこんなマグマだとは思っていなくて。原作を読んだときはどう映像のエンタメにするのか未知数なところがあって、楽しみでありつつ、これからこのカイブツと格闘していかなければならないのかって怯む気持ちも若干あったと思いますね。

権八:実在する人だってところがやっぱり面白い。これはもともとcakesでの連載ですよね。

岡山:そうです。

中村:あ、そうなんだ!

権八:本当にラジオリスナーの方たちからすると、「あ、あの人のことだ」みたいな。ラジオリスナーの間で有名だったり、あるいは「大喜利番組とかで優勝してた人だ」となったり。実際に起こっていることにすごい近くて、ちょっとパラレルワールド的というか、映画を見てるとみんなよく知ってるあの人があの俳優さんで…とか、これはあのことなのかな…という楽しみ方もできますよね。現実と重なっていくのが面白いんですよね。

中村:昔の史実のドキュメンタリー映画とかはありますけど、わりと最近でみんな生きてて、みんなトレースできる映画ってなかなかないですよね。

権八:そうそうそう。

岡山:確かに。

権八:その面白みが他にはない魅力というか、フィクションなんだけどノンフィクションっていうか。

岡山:そうですね。

権八:そう。なんか不思議なね。

死相が出るほどの過酷な撮影だった

権八:天音さんは、ご本人ともお会いしてるからアレかもしれないけど、主人公のツチヤタカユキに共感しますか。

岡山:僕も、まあ少なからずみんなそうだと思うんですけど、他者と繋がったり、自分の外側の社会と上手いこと折り合ったりすることができないっていう葛藤や難しさは、先天的に持っていて、子どもの頃からわりと苦しんできたので、そこに対してはすごくシンパシーを感じました。ツチヤに関して言うと、自分と同じだとまではいかないですけど、理解できない部分はあんまりなかったです。最初から「わかるな」って感じで。

中村:ツチヤタカユキってクリエイターとしてある意味純粋なわけじゃないですか。自分が面白いネタを書き続けるっていうことに対して純粋で、あまり社会に迎合しない面もあるので、一瞬憧れてしまう気持ちもあると思うんですけど、そういうのって天音さんは感じますか。

岡山:僕は唯一ツチヤタカユキ役を演じた人類なので、うらやましいっていうのはあんまり……。やっぱり苦しいです本当に。彼の視点から見た世界は大変でしたね。ピュアがゆえに、感情の起伏もものすごく激しかったですし。でもその分、お芝居の醍醐味はふんだんにある現場ではあったんですけどね。

権八:映画を見進めるうちにどんどん体調が悪くなってきちゃったり。

全員:あははは。

中村:そうそうそう、苦しそう。

権八:ね、演技だろうけど苦しそうで。

岡山:ツチヤさんも1回現場見学に来てくださって、でもあんまりそのときお話してなくて、終わってからいろいろお話する機会をいただいたんですが、「もう死んじゃうんじゃないかと思った」って言ってましたね。大変そうすぎて、僕の顔に死相が出てたって。

権八:本当にすごい迫真の、それも含めて迫真でした。

中村:いや本当に。

権八:すごかったな。実際ツチヤさんご本人も体壊されてるんですよね。

岡山:そうですね。

権八:腸が3ヶ所破けてたとかって。

中村:え、本当!?

権八:入院してるときの写真とか映像がネットに出てたけど、だから要するにストイックにネタ作りとかに没頭しすぎて、飯もまともに食ってない感じでしたね。

岡山:食べるシーンが映画でもちょこちょこ出てくるんですけど、基本あんまりおいしそうな食事シーンがないっていうか。生き延びるために腹に入れてるみたいな。だから取材でも、「あのシーンで食べたあれって何なんですか」って聞かれることもあって。美しくおいしそうに描写するのではない、そういう食事の表現も面白いなと思いますけどね。ツチヤならではというか、『笑いのカイブツ』ならではというか。

中村:この役は正直難しいんじゃないかと思って。ずっと苦しい顔してるし。しかもツチヤタカユキって無口じゃないですか。あ、あと関西弁は元々?

岡山:いえ、方言指導で。データで音をいただいて聴きまくりました。

権八:じゃあめちゃくちゃ難しかったんじゃない?

岡山:そうですね。でもあんまり喋らないので助かりました。

中村:逆にそうなんですか。

岡山:大阪弁はやっぱり難しくて、めっちゃ格闘しましたね。「今のだとちょっと違う」とか言われて、「今天音くんは〇〇なんやって言ってるけど、正解は〇〇なんや」って教えてくれるけど、その違いがわからない。

全員:あはは!

岡山:モスキート音みたいに僕の耳だと「キャッチできないですその違いが」ってなってしまって。でもそのぐらい、方言指導は古賀(勇希)さんという若手芸人の役で出演もしてる俳優の方なんですけど、つきっきりで指導していただきました。熱血で。

中村:じゃあもうだいぶ会得しました?

岡山:いやあ……?

全員:あははは。

岡山:方程式みたいなものを掴んでるわけではないので、丸暗記というか耳コピみたいな状態ですよね。ひたすら聞いて覚えて。だからツチヤのセリフだったら、今でも言えるかもしれないですけど、応用はできないです。

同世代の出演者が多く、役と現実の人間関係がリンクする現場だった

権八:あとこれ、なんといっても途中から次々と豪華な共演者が、「あれ、あの人だ」「今度はあの人がでてきた」みたいな感じで。この楽しさもありますね。みなさん同年代の方たちですよね。(仲野)太賀くんにしても。

岡山:そうですね、ツチヤが深く接点を持つキャラクターは基本的に同世代の方々が多かったですね。

権八:この辺の俳優の方たちとの交流はあるんですか?

岡山:10代から俳優をやってるので、事務所入った頃に多かった学園ものとかで同世代とは基本的に顔を合わせています。菅田(将暉)くんや太賀くんとは1本目とか2本目の仕事で同級生として共演していて、それからもう10年以上の付き合いですね。ふたりとも先輩なんですけど、付き合いは長いです。

権八:2人ともいい役だよね。

中村:めちゃくちゃいい役ですね。

岡山:そうですよね。ふたりとも全然方向性の違うキャラクターですけど。ふたりとの共演は緊張もしましたし、嬉しさもあり。でも皆さんご存知だと思いますけど、本当にエネルギッシュなお芝居をされる方たちなので芝居してても楽しかったですし、やりやすかったです。

全然質は違いますけど、ツチヤにとっては重量のある関係値の人たち、他の人との接点が薄い分、濃い繋がりを持ってる人たちではあったので。松本(穂香)さん演じたミカコもそうです。松本さんも何度も共演させていただいていて、それがお芝居にもにじんでしまうというか、実寸大の僕らの関係値と役の関係値が近いというか。ツチヤを演じる上で皆さんには力をお借りしましたね。

権八:彼女は実在の彼を支えた存在だと思うんだけど、菅田くん演じるピンクはどうなんですか?独特な存在で、この人って実在したのかしらって気になっちゃったんですよね。

岡山:実在してます。

権八:してる人なんだね。

岡山:みんな実在してるらしくて。だから菅田くんはほぼほぼ大阪での撮影だったんですけど、ツチヤさんが菅田くんの撮影のときに見学にいらっしゃってて、菅田くんは実際のピンクがどんな人だったのか、ツチヤさんにいろいろ取材してましたね。一緒にカラオケ行ったってエピソードを聞いたり、そのとき何を歌ってたのかを聞いたりしてました。事実は小説より奇なりじゃないですけど、ツチヤの人物像もそうですし、「本当なの?」って思っちゃうところが要所要所にありますよね。でも基本的には本当の話だったり本当の登場人物だったりするらしいです。

中村:天音さんご自身は、ツチヤタカユキさんとお会いして、事前に演技の分析的なことをしたりはされたんですか。

岡山:いや、まったくしてないですね。撮影前にお会いもしてないですし、ツチヤさんは有名な方なので密着されてる映像があって、それを見たりはしましたけど、撮影期間にお会いしたのは現場に見学にいらっしゃったときですね。でもその時も挨拶ぐらいでちゃんとお話はしてなくて、終わってから試写のあとに飲みに行ったりはしましたけど。

権八:あと太賀くん演じる西寺の漫才コンビのベーコンズ、あれの漫才の指導も令和ロマンが。

岡山:そうなんですよね。

権八:そういう意味ではお笑いファンも見どころ満載ですよね。結構長尺で漫才するところもあるじゃないですか。

岡山:フルですね。

中村:すごかったですね、あれ。

権八:そうそうそう。あれは、ツチヤさんが実際に書いてくれた書き下ろしのネタなんですよね。

岡山:そうです。

権八:で、令和ロマンも現場で、……現場だったのかな?

岡山:いや事前に講義じゃないですけど、ネタがあって、それをただやればいいって話ではないので、ディティールどう表現していくかについて板橋(駿谷)さんと太賀くんのお2人が指導を受けたって話を聞きました。

権八:だからもう、見事にやってましたよね。

岡山:いやすごいですよね、本当に。これも大変ですよね、芝居とまた違う機能を要求されてたので。ツチヤがネタを見てるシーンもあるんですけど、僕も本番以外全部は見せてもらってなくて、本番一発で丸々見してもらってって撮り方を監督がしてくださったので、そういうのもとても刺激的でしたね。

見てくれた人の生き方が広がる映画

権八:劇中にも、印象的で素敵なシーンはたくさんあるんだけど、太賀くんも菅田くんも本当に素晴らしかったし、穂香ちゃんも言ってたけど、「好きなものを見つけられる、好きなことに打ち込めることって羨ましいんや」みたいな、本当それに尽きるなって。そこにもちろん壁はあるんだけど、行き過ぎちゃってるからね。だけど「自分はこれだ」ってものを見つけて、そこに全ベットするってなかなかできないし、やっぱりこんな純粋に「これが好きだ」……好き、好きなんですかね?今言ってて思ったけど。好きなことっていうか、「これだ」ってものを決めて、そこに猪突猛進していく姿っていうのは、若い人なんか特に「何がやりたいのか、何が好きなのか、自分でもよくわかんない」みたいな人も多いから。

岡山:だから今の時代に浸かってる人たちからすると、とっても新鮮に映るんじゃないですかね。「こういう生き方って自分のレパートリーにはなかった」って。でも本当に限りなく実話に近い、実際にどこかで呼吸をして生きてた人の話なので、僕も少なからずカメラが回ってる間はそういう男として人間として生きてましたし、見てくれた人の幅が広がるというか、生き方の選択肢が増えるような、そういう側面もある映画だと思いますね。

権八:なかなかこうは生きられないですけどね。

岡山:おすすめはしませんね。

<次回につづく>

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