競合プレゼンを勝利に導いた1枚のシートの力

競合プレゼンに勝てない理由は、プレゼンの内容だけではなかった――。競合プレゼンで受注を勝ち取るためのポイントについて記した書籍『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』(2023年3月発売)は、プレゼンを行う前段階の準備として、勝つための環境を整える重要性を説いている。

読売広告社(YOMIKO)のメディアプランナーである鈴木航氏は、本書を読んで新しい視点に気づき、その内容を同僚にも伝えたいと、著者の鈴木大輔氏を招いた講演会の実施を提案した。

鈴木航氏と、鈴木航氏の上司であり、講演会の実施を後押しした同社のマーケットデザインセンター 局長代理の水谷謙一氏、そして鈴木大輔氏が、本書や講演会の内容、そこから得られた学び、そして実際の成果につながったことについて話した。

競合プレゼンは、中身だけで勝てる戦いではない

――『競合プレゼンの教科書』を手に取った経緯について教えてください。

鈴木航:私は1年ほど前にキャリア採用でYOMIKOに入社しました。それ以前は競合プレゼンの経験はあまりなかったのですが、入社後は競合案件に関わる日々で、業界上位の会社に負け続けて苦しい状況にありました。そうした中、たまたま本書を見つけ、わらにもすがる思いで手に取ったのです。

競合プレゼンで大事なのは提案の中身で、負けるのは単に自分の実力不足なのだと思っていたのですが、本書を読み進めると、その前段階の人脈や技術、マインドの部分から変えていく必要があるということに気づきました。

写真 人物 個人 鈴木航
鈴木航(すずき・わたる)/YOMIKOマーケットコンサルティングセンター シニアプランナー。メディアレップにてデジタルメディアプランニングを1年半経験、その後自動車メーカーのハウスエージェンシーにて約3年デジタルメディアプランニングに従事。2023年YOMIKOに入社。現在は統合メディアプランナーとして不動産、商業施設、食品等のクライアントを担当。

鈴木大輔:私も負け続けていた時期がありました。プレゼンで大事なのは中身だけではないと気づいたのもその頃でした。当時はADKに在籍していたのですが、決定的だったのは「御社と初めて仕事をするのは不安だから、これまでの代理店にします」と言われたこと。それではどんなに良い企画を提案しても意味がないと思ったと同時に、提案の中身だけで勝てる戦いではないのだと気づいたのです。

鈴木航:書籍は感銘を受けることばかりでした。読み終わって、気が付いたら大輔さん(著者)にメールで感想を送っていました。そんな経験は人生で初めてです。

返信が来るとも思っていなかったのですが、すぐに返信をいただいて。その流れで講演をお願いできることになりました。周りには私と同様になかなか勝てていないメンバーもいたので、ぜひ多くの人に話を聞いてほしいという思いでお招きしました。

成功事例より敗因から学べることのほうが多い

――社内で講演会を開催して、成果や参加者の反応はいかがでしたか。

水谷:約100人が聴講し、盛況でしたね。参加者からは、競合プレゼンの重要なポイントをきちんと言語化して、体系化してくださっていることや、あらゆることを網羅していることが有難かったという声が聞かれました。

写真 人物 個人 水谷謙一
水谷謙一(みずたに・けんいち)/YOMIKOマーケットコンサルティングセンター局長代理(兼 AaaS戦略グループ担当部長)。1994年YOMIKO入社。営業職を経て、主に統合メディアプランニングおよびデータドリブンプランニング業務に従事。

開催後にすぐに実務に取り入れたのは、敗因分析です。講演会の約1カ月後に部門内の協議会が開かれたのですが、そこで早速、敗因分析を発表していたチームが見られました。成功事例を共有するケースは過去にもありましたが、敗因から多くのことが学べることを実感しています。

事前の打ち合わせでは当社の課題を相談し、講演内容もそれに合わせてカスタマイズしていただきました。というのも、プレゼンがうまくいかなかった時の要因の一つとして、領域の異なるスタッフ同士の溝や温度感の違いによって領域を越えた連携がうまくいかず、最終的につぎはぎの提案になってしまうということがあったからです。

鈴木大輔:中途入社を含めいろいろなバックグラウンドを持ったメンバーがいるということも事前に伺っていたので、チーム内で「センタープレイヤー」として積極的に関与していくことを講演では提案しました。

写真 人物 個人 鈴木大輔
鈴木大輔(すずき・だいすけ)/FACT 戦略プランナー。2006年ADK入社。2019年、クリエイティブブティック「FACT」の立ち上げに参画し現在に至る。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化した『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を2023年3月刊行。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

ほかにも、戦略からエグゼキューションまでバケツリレーのように受け渡しながら提案をつくるのではなく、全体でコアアイデアを開発して合意し、そこからそれぞれの領域に散ってアイデアを精緻化させていくという手法についても解説しました。

水谷:各領域で考え方が違うから、互いに尊重と越境して最初から一緒に考えていこうと言ってもなかなか変わることができていなかったので、外部の方にお話しいただけたことで、効果が期待できると感じました。特にエグゼキューション領域を担当するチームにとっては、アイデアの具体化になるべく時間を残すべきと言っていただけたことが、よくぞ言ってくださったという感じでしたね(笑)。

鈴木航:講演会後、1~2年目の若手メンバーからは「初速が大事なんだ」という声も聞かれていました。若手にとっても、きちんと自分ごととして捉えて実践できる講演になったんだと感じられたことが良かったなと思っています。

クイックスタートシートで得た納得の勝利

――鈴木航さんは、実際に本書や講演会の内容をどのように役立てられていると感じますか。

鈴木航:まずは、「競合プレゼンクイックスタートシート」(書籍の付録)をしっかり使うことを意識しています。

実は、講演会後すぐに競合プレゼンがあり、プレゼン当日まで1週間というタイミングでメディアプランニングチームに話が来たのですが、あまりにも時間がなかったので、とにかくクイックスタートシートを使ってみることにしたんです。

写真 誌面 『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』
競合プレゼンクイックスタートシート。書籍からフォーマットをダウンロードできる。

営業の方にシートを書いてもらうと、「勝ち筋」の欄が埋まっていない状態だったのですが、営業やクリエイティブの担当者とコアアイデアを出すミーティングをしていて気づいたのは、具体の話をする前にまず「勝ち筋」を考えることが一番大事なのではないかということ。それによってこのシートが完璧に埋まれば、自然とやるべきことも明確になると感じました。

実際に「勝ち筋」を書いてから具体を決めていったところ、初めて声をかけていただいた案件だったにもかかわらず、競合プレゼンで勝つことができました。まさに納得の勝利でしたし、今まではこのシートをきちんと埋められていなかったことが敗因の一つになっていたのだろうと思いました。この考え方が全体に広まっていけば、会社の財産になると感じています。

現在は、プレゼン後にもクイックスタートシートを用いて、振り返りを行っています。納得の勝利を収めることができた場合も勝因分析をしておくことで、その後の仕事や次回のプレゼンで意識すべき部分を明確にでき、営業の方とも話し合うことができるんです。

鈴木大輔:クイックスタートシートにそのような使い方があるとは、発見ですね。かけた時間や体力の分、負けたとしても何かしらを得なければならないと考えています。そのために必要なのは、やはり振り返り。シートをそのように使っていただけて、本当にありがたいですね。

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『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』は、広告業界やコンサルティング、ITなどのビジネス現場で行われている「競合プレゼン」「コンペ」「ピッチ」に勝ち抜く100のメソッドを体系立ててまとめた一冊です。広告会社で研修などでの実績が増加中。競合プレゼンに取り組むチームの強化に役立てられています。

2023年3月20日発売/定価:2,420円(本体2,200円+税)/A5判 344ページ

 
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鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)
鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)

2006年ADK入社。競合プレゼンの存在すら知らなかった営業時代を経て、2010年より戦略プランナーとして大阪へ。一転して競合プレゼン三昧の3年間を過ごし、勝率5割を達成。ところが東京に戻ってからは、思うように勝てない日々が続く。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化。2023年、著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を上梓。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)

2006年ADK入社。競合プレゼンの存在すら知らなかった営業時代を経て、2010年より戦略プランナーとして大阪へ。一転して競合プレゼン三昧の3年間を過ごし、勝率5割を達成。ところが東京に戻ってからは、思うように勝てない日々が続く。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化。2023年、著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を上梓。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

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