営業とマーケティングの連携で効果を上げていくために必要な3つのこと

営業とマーケティング部門の間には、しばしば「壁」が生み出されます。多くの企業では、営業の効率化だけではすぐに限界がきてしまうため、営業活動の前後におけるフェーズも横断した「営業戦略」を描く必要があります。しかし、売上拡大のために導入した各種ツールが「目的化」してしまい、「マーケは現場が分かっていない」「営業では情報が属人化している」というように、思い描いていた結果に結びつかない状況に陥っている企業もあります。

本記事は2024年4月に配信された宣伝会議主催のウェビナー「Sales Strategy Conference ~拡張する『営業戦略』の“策定”と“実行”を科学する~」から、注目セッションをレポート。営業とマーケティングの組織改革を進めるソフトバンクの取組事例を、法人マーケティング本部長を務める上野邦彦氏が解説します。

情報共有のツール導入で営業生産性が3倍に

ソフトバンクでは大きく2つの事業がありますが、今日お話しするのはエンタープライズ、BtoBマーケティングの領域についてです。「課題解決型ビジネス」という、クラウドやAI、あるいはビッグデータなどを使ったソリューションビジネスをご提供しており、現在は2ケタ成長を続けるなど、法人事業の成長の基盤になっています。

今日はその中でも、マーケティングと営業組織の取り組みをご紹介します。

マーケティングに携わっていると「ROIは出ているのか?」と問われることが多々あります。しかし、特にコミュニケーションの領域はROIを出すのが難しいという答えが多いと思います。私たちもさまざまな仮説を立てながら何とか数値化を行ったところ、最近3カ年で約4倍という売上貢献ができているという結果になりました。コストを合わせて見ると、2023年でようやく利益を出せる状況になっていますが、ここまでにどんな取り組みをしてきたのかをご紹介します。

私がマーケティング組織とともにインサイドセールスを包括した法人本部を立ち上げた時、印象に残っている光景があります。それは、インサイドセールスのメンバーがお客さまと電話をしながら、お客さまとのやりとりを記録した手書きのノートを見て話をしていたことです。パフォーマンスの高い営業が持っているスキルやノウハウが共通化できていない「属人化」の一つの要因が、情報やナレッジが紙に記録され共有化されてないことではないか。そのためのプラットフォームが用意できていないからでは、と当時思いました。

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