スタンダード・オイル社の独占的なビジネス慣行を暴露
イーダ・ターベル(アイダ・ターベルとの表記もあります)は、アメリカ合衆国の著名なジャーナリスト、伝記作家、歴史家です。彼女は、マックレーカー(不正の追及に特化して取材する記者)の先駆者として知られており、スタンダード・オイル社の独占的なビジネス慣行の暴露記事で有名です。
大学で学士・修士号を取得後、1894年に『マクルーア・マガジン(McClure’s Magazine)』誌に採用されたターベルは、エイブラハム・リンカーン大統領に関する連載を始めました。
この連載によって、同誌の購読数を2倍にしたといわれており、1900年に『エイブラハム・リンカーンの生涯』として出版されました。ターベルは、編集記事の執筆と同時に、調査報道に取り組むようになり、いわゆるマックレーカーとして数多くの暴露記事を執筆します。
ターベルのリンカーン大統領の連載は、『マクルーア・マガジン』誌の購読者数増に貢献したという。
彼女と同時期に活動していた他の有名なマックレーカーには、リンカーン・ステフェンズ、アプトン・シンクレア、レイ・スタナード・ベイカーなどがいます。第一次世界大戦に参戦した米国政府が立ち上げた「広報委員会(CPI)」の責任者を務めた
も、マックレーカーのひとりでした。
20世紀初頭以降に活躍したジャーナリストの中には、マックレーカーとして活動していた者が多かったようです。これらのジャーナリストたちの努力は、社会改革や反トラスト法の施行、労働条件の改善など、多くの重要な変革をもたらしました。
アメリカでの反トラスト法(独占禁止法)執行に影響を与えた
ターベルの最も有名な調査記事は、ジョン・D・ロックフェラーが創設したスタンダード・オイル社の独占的なビジネス慣行を暴露した一連の記事です。
これらの記事は、彼女の友人であるマーク・トウェインからスタンダード・オイル社取締役のヘンリー・ロジャースを紹介してもらったことから取材が始まったものです。ロジャースはスタンダード社の当時の悪評を抑えるために、ターベルの取材に応じたとも思われ、極めて正確で公平な情報を彼女に提供したといわれています。

