※本記事は、月刊『宣伝会議』7月号 の巻頭特集に掲載されています。誌面では10選を紹介しています。
本稿では、最近異動になった新任の担当者にも伝わるよう、デジタルマーケティングに関わるすべての人が知っておきたい5つの単語を解説付きで紹介していきます。
①KPIツリー
KPIツリーとは、目標を因数分解し具体的な指標に分けて展開する方法です。例えば、企業の重要目標が「売上の増加」であれば、その下位指標には「顧客数の増加」「平均購入額の増加」「リピート率の向上」などがあります。
各指標をさらに細分化し、ボトルネックを特定して具体的なアクションプランにつなげることで、効果的な目標達成に向けた業務遂行が実現できます。KPIツリー自体はデジタルマーケティング以前からある言葉ですが、特にデジタルマーケティングと相性がよく、必ず覚えておきたい思考方法です。
用語②以降は、昨今のWebサービスで多く用いられる指標・用語を説明しています。KPIツリーとあわせて考えてみてください。
【図】KPIツリー
②LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)
LTVは、ひとりの顧客がビジネスとの関係を通じて生み出すと予想される利益の総額を示す指標です。この指標は、顧客が初めて製品を購入する時から関係が終了するまでの間に企業が得る収益を推計したものであるため、顧客一人ひとりからの長期的な価値を把握するのに役立ちます。
LTVは、マーケティング戦略や顧客サービスの計画において重要な指標とされ、企業がマーケティングや顧客獲得の予算をどのように割り当てるべきかを判断するのに用いられます。高いLTVはリピート購入などの高い顧客ロイヤリティを意味し、企業の持続可能性と成長に寄与します。
③CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)
CACは、新しい顧客を獲得するために企業が費やした総コストを新規顧客数で割った指標です。この指標には広告費、マーケティングキャンペーンの経費、営業チームの人件費、技術的な支出などが含まれます。CACの値が低いということは、より少ないコストで顧客を獲得できているため、企業のマーケティング戦略が効率的であると評価されます。
一方で、高いCACは顧客獲得戦略の見直しが必要である可能性を示しています。また、顧客生涯価値(LTV)とCACの比率はビジネスの持続可能性と収益性を測る重要な尺度とされるので、理想的にはLTVがCACを上回ることが望ましいです。
