積水ハウスは8月、「帰ろう。」というコピーを用いた新たな企業広告の展開をスタートさせた。従来の「家に帰れば、積水ハウス。」というお馴染みのフレーズはそのままに、現代の価値観に合わせてメッセージやCM ソングをアップデートした。
積水ハウスのテレビCM「帰ろう。」篇(60秒)。
「持ち家」から「帰りたい場所」へ
積水ハウスが企業広告、商品広告などで打ち出してきた「家に帰れば、積水ハウス。」というフレーズは、創業50 周年を迎えた2010 年につくられたものだ。
またCMソング「積水ハウスの歌」は、1970 年に小林亜星さんが作曲。50 周年を機に歌詞・アレンジを新調して復活し、八代亜紀が歌唱するなど、多くのアーティストらによって歌い継がれてきた。
戸建て住宅事業のイメージが広く浸透している同社だが、2000 年からは賃貸住宅ブランド「シャーメゾン」を展開。賃貸管理やリフォーム、都市再開発などさまざまな事業を手がけている。最近ではアメリカをはじめとした海外事業にも注力している。
今回の表現では、事業領域を広げる中で広告のターゲット層も広げていくという狙いがあった。「住宅購入を考えていない層や、若い世代にも届けることを意識しています。人生の選択肢が広がった現代では、家を持つことだけが幸せではない。『帰りたい』と思う場所や記憶を持つことが幸せなのだと考えました。そこから、『帰ろう。』という核となるコピーと、『帰りたい場所がある。それって、すごい幸せだ。』というメッセージを打ち出しました」(ドリル コピーライター 藤曲旦子さん)。
新たなテレビCMは「帰ろう。」というコピーと共に展開された。
制作チームにも新たに若手が参画する座組みに。同社の広告シリーズに長年携わってきた一倉宏さんのもと、電通の鈴木健太さんがクリエイティブディレクターを務めている。
「幼い頃から積水ハウスの歌が流れるCM をたくさん見てきました。企業のCM シリーズがここまで続くことは広告の歴史の中でも異例で、だからこそあらゆる人の心に残り続ける楽曲やメッセージは残したかった。新たに生まれた『帰ろう。』というコピーも今までの延長線上にあります。最も普遍的な、人々の『帰りたい気持ち』を核にすることで、地球の裏側の方にも共感していただけるようなコミュニケーションに育てていきたいです」(鈴木さん)。
