KREVAさん起用で話題、大同特殊鋼のテレビCM 30年ぶりのテレビ出稿の意思決定につながったデータとは?

デジタルからテレビをはじめとするマスメディア、さらには店頭行動までがデータで一本につながるようになったことで、メディア投資戦略にイノベーションを起こすような新たな取り組みが始まっています。本連載では、企業・メディア・広告会社に多面的な取材を行う中で、マーケティング・コミュニケーションの未来を探っていきます。今回は、愛知県名古屋市に本社を置く大同特殊鋼で広報を担当する市川明子氏と、博報堂DYメディアパートナーズの岩田衣世氏、博報堂 中部支社ビジネスプロデューサーの小木曽宏之氏を迎え、同社の企業認知向上を目的としたテレビCM出稿について話を聞きます。
写真 人物 集合 写真左から、大同特殊鋼 経営企画部 コーポレートコミュニケーション室長 市川明子氏、博報堂DYメディアパートナーズ メディアプラニング統括 岩田衣世氏、博報堂 中部支社 ビジネスプロデューサー 小木曽宏之氏

写真左から、大同特殊鋼 経営企画部 コーポレートコミュニケーション室長 市川明子氏、博報堂DYメディアパートナーズ メディアプラニング統括 岩田衣世氏、博報堂 中部支社 ビジネスプロデューサー 小木曽宏之氏

データで媒体の価値を明らかにして可視化の先の「手ごたえ」を感じた

――大同特殊鋼では近年、広報活動を積極化しています。背景をお聞かせください。

市川

:私たち大同特殊鋼は、「特殊鋼」という鉄と炭素にさまざまな合金元素を添加して、用途に合わせた特性を付加した鋼を製造しているメーカーです。BtoB企業であるがゆえ、これまでは取引先向けの製品広告やPRが中心で、企業認知向上を目的としたBtoCの広報やIR活動には積極的に取り組んではいませんでした。

しかし、1990年代以降、右肩下がりで企業認知度が下降。業績は好調にも関わらず、投資家からの評価や、採用活動時に学生が集まらないなど、課題が浮き彫りになっていました。そこで2022年7月に立ち上がったのが、私が所属するコーポレートコミュニケーション室です。「大同特殊鋼」という社名の認知度を上げることがミッションのひとつ。その解決策として博報堂DYグループさんに提案いただいたのが、テレビCMを中心とした広報活動でした。

――博報堂DYグループはどのような提案をしたのでしょうか。

岩田

:企業に対する好意度や就職意向、投資意向を高めるためには、どのようなタイミングや頻度でCMに出会うと最も気持ちが動くのか。「AaaS※」を用いてリーチや認知などのメディア指標を分析し、様々なデータやアルゴリズム、これまでの知見を基に、プラニングしました。

※博報堂DYグループが2020年12月より提供を開始した「AaaS(Advertising as a Service)」は、統合的なメディアプラニングから、広告枠のバイイング、広告効果のモニタリングをワンストップで支援することでマーケティング戦略上、最適な広告メディアの活用を可能にするサービス。

小木曽

:バイイングに関しては、「大同特殊鋼にとって最も効果的と想定されるメディア」を検討し、今回はテレビとTVer、YouTube、Instagramと複数のメディアを活用し、メッセージをターゲットに無駄なく効率的に伝えることを重視しています。

――企業広告の効果は長期的な視座で見る必要があると思います。当座の費用対効果の説明はどのようにされたのでしょうか。

市川

:約30年ぶりのテレビCM出稿ということもあり、社内に知見もなく、費用対効果に見合うのかといった懸念はありました。そうした中で博報堂DYグループさんのシミュレーションを提示することで、今も十分に幅広い層にリーチできる媒体であることを説明。私自身も「この数字はどんな意味があるのか」と細かく質問して納得した上で、進めることができました。KPIとしたのは企業認知度です。こうした取り組みは1~2年ですぐに効果が出るものではありませんが今後、採用チームとも連携し、母集団形成への寄与なども分析していく方針です。

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