日本の広告において、唯一無二の存在感を示し続けている、日本マクドナルド。なぜ話題になる企画を生み出し続けることができるのか。2024年に実施された2つの広告と、それぞれを担当したクリエイティブディレクター澤本嘉光さん、福部明浩さんの2人とともに、日本マクドナルドのCMOであるズナイデン房子さんにクリエイターとのパートナーシップの考え方や日々変化するユーザー心理や価値観の捉え方、アイデアや企画の選び方などを聞いた。※本記事は月刊『ブレーン』2025年1月号特集「2025年の広告表現 企業がクリエイターに期待すること」への掲載内容から抜粋してお届けします。
日本マクドナルドホールディングス 取締役、日本マクドナルド 取締役 上席執行役員 CMO ズナイデン房子氏。
(左から)dentsu Japan グロースオフィサー/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター/CMプランナー/脚本家 澤本嘉光氏、catch クリエイティブディレクター/コピーライター 福部明浩氏。
目指すのは「LIKEからLOVEへ」
日本マクドナルドの2024年の広告は、そのクリエイティビティが特に際立ち、結果を伴うものだった。世界最大のクリエイティビティの祭典、カンヌライオンズでは、店舗で働く「クルー」のリクルーティングを目的としたMV「スマイルあげない」で金賞を受賞した。
2024年11月に発表された日本最大の広告賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS(ACC賞)では、「夜マック」の「特別じゃない、しあわせな時間。」シリーズがフィルム部門Bカテゴリー(テレビCM以外が対象)においてACCグランプリを受賞。「オードリーのオールナイトマック」がメディアクリエイティブ部門で同じくACCグランプリを受賞。「スマイルあげない」がフィルム部門Bカテゴリーでゴールドを、マックフライポテトのプロモーション「ティロリミックス」がフィルムクラフト部門ゴールドを受賞など、クリエイティビティを評価するアワードにおける快進撃が続いている。
同時に業績も伴っており、2024年の全店売上高は過去最高益を更新した23年をさらに上回る見込み(24年11月時点)だ。良いクリエイティブが良い業績を生む。それを今日本で最も体現している企業と言っても過言ではない。

