2023年のドラッグストアヘアケア市場においてメーカーシェア1位(同社調べ)を達成したI-ne。シャンプーカテゴリにおいて主力ブランドの「BOTANIST」に加え、ナイトケアビューティーブランド「YOLU」を再び大ヒットさせ、驚異的な確率でヒットを連発している。その秘訣は何か。2024年12月13日に発売した新刊『偶発購買デザイン』著者で電通 戦略プランナーの宮前政志氏、松岡康氏が、I-ne ビューティケア事業本部長の大菅研登氏に話を聞いた。
I-ne主力ブランドの 「BOTANIST」
ヒット商品を生む開発フレームワーク「IPTOS」とは?
松岡
:I-neでは独自の商品開発のフレームワークとして「IPTOS」を構築されていると聞きました。どのようなフレームなのか、うかがえますか?
大菅
:「IPTOS」は商品の開発から販売に至る流れをフレームワークに落とし込み、ブランドマネジメントシステムとして体系化したものです。Idea(アイデア)・Plan(企画)・Test(検証)・Online/Offline(EC/小売店での販売開始)・Scale(販売拡大)という5つのフェーズから成立しており、名称はそれぞれの頭文字から引用しています。フェーズごとにKPIを設け、独自の消費者調査も行っています。
例えば「商品コンセプトやパッケージを考案した上でアテンションシール(POPシール)のデザインを検討。その上でテスト販売を行い、売れ行きが良好であればさらに販売拡大する」という考え方です。「IPTOS」を徹底して仕組み化していくことが、ヒット商品を生み出す近道だと考えています。
松岡
:最初のIdea(商品アイデア)はどのように考案されているのですか?
大菅
:2つのパターンがあります。一つは弊社のブランドチームの中でアイデアを出すパターン、もう一つは、社内でアイデアコンテストを実施するパターンです。ブランドチームでアイデアを練る際は、消費者のニーズやインサイトから数十〜百案程度を考えます。その中からブランドチームでブラッシュアップを行い、最後にテストにかける形で進めていきます。アイデアコンテストは、全社員から募集を行っています。
