失敗から何を学ぶか? 日本企業に戦略が不可欠な理由(川上智子×音部大輔)

早稲田大学ビジネススクールの川上智子教授は、2024年12月に刊行された書籍『君は戦略を立てることができるか』を周囲に勧めることが多いという。資源に着目し、ストーリーをつくり、成功や失敗から学びを得る……。日本企業が活性化するために必要なことについて、著者の音部大輔氏と話し合った。
写真 人物 音部大輔氏、川上智子氏

ホチキスを資源と見ることができるか?

川上

:「はじめに」に120分~180分で読めると書いてあり、あとがきのストーリーまで、音部さんの心遣いを感じる書籍でした。内容ももちろん素晴らしく、会う人会う人に勧めています。後世に残る名著だと思います。

音部

:ありがとうございます。光栄です。

川上

:日本を代表する大手も含め、さまざまな企業の方と接することがありますが、この本に書かれているような「戦略」の概念をもっとみんなが理解していれば良い方向に変わっていくのに、と思うことがあります。

今はあらゆる企業が中計(中期経営計画)や長計(長期経営計画)を立てていますが、これらは戦略ではなくて計画ですよね。KPIは設定されていますが、その根拠がないまま計画に入っていくところに日本企業の問題があると思っています。

写真 人物 川上智子(かわかみ・ともこ)

川上智子(かわかみ・ともこ)/早稲田大学ビジネススクール教授。国際的な学術誌に論文を多数発表。早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所創設者、『ブルー・オーシャン戦略』著者キム=モボルニュとケース共著。コペンハーゲンビジネススクール客員教授、ハワイ大学客員研究員他を歴任。2017年アジア・マーケティング研究者トップ100に選出。コトラー著Essentials of Modern Marketing (近刊)の監訳も務める。

 

経営戦略もブレイクダウンするといかに数字を達成するのかという事業戦略に落とし込まれるので、数値化され計測できるものではあるのですが、その根拠がありえないものになっていると感じることがあります。

音部

:立てた計画が、後でうまくいったかどうかをKPIで測ることはできますが、計画がA、B、Cとあるときに、どの計画がいいかを判断するには戦略がないとできません。なのに戦略なしに判断をするから情実意思決定のように見えてしまいます。

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宣伝会議 書籍編集部
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宣伝会議書籍編集部では、広告・マーケティング・クリエイティブ分野に特化した専門書籍の企画・編集を担当。業界の第一線で活躍する実務家や研究者と連携し、実践的かつ最先端の知見を読者に届けています。

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