7月4日から新宿・歌舞伎町「王城ビル」にて、ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展が始まる。
本展は、ジャン=リュック・ゴダール監督最後の長編作品であり、カンヌ映画祭でパルム・ドールを超越する賞として、映画祭史上初の「スペシャル・パルムドール」を受賞した『イメージの本』(2018年発表)を映像インスタレーションとして再構成。ゴダールの眼で世界を見る内容となっている。カルチュア・コンビニエンス・クラブの中で「アートがある生活」の提案をするCCCアートラボによる企画で、クラウドファンディングによって開催が実現した。
複数の章から構成される映像展示(画像は2F)
映画『イメージの本』は、1世紀以上にわたる歴史、戦争、宗教、芸術などの変遷を、さまざまな映画の引用でコラージュし振り返る、5章立ての作品。本展では映画の各章をさらに断片化し、引用される映像の順序も常に変化させている。それらを会場内に多数設置されたスクリーンに投影・展示するという手法により、映画上映の時系列的な束縛を打ち破り、視覚的、空間的にゴダールの世界を体感することができる。
これまでにドイツ、スイス等で会場の特徴をいかした展示が行われてきた同展。日本での会場は、1964年の竣工以来、喫茶店やキャバレー、居酒屋、カラオケ店とその姿を変え、半世紀以上にわたって人々の交歓・交流の地として知られてきた「王城ビル」が選ばれた。
会場の王城ビル
本展のアーティスト/キュレーターを務めたのは、晩年のゴダールの右腕であったスイスの映画作家・ファブリス・アラーニョ氏。映画『イメージの本』のプロデューサーでもある氏は、本展のコンセプトを「『イメージの本』の編集室を拡大し、映画のなかの世界のように拡張させたもの。観客は自分で映画のプロセスを選択し、観客自身が時間のカーソルとなって、まるで森のような映画空間を散策できる」と話している。
本展の開催を記念し、ファブリス・アラーニョ氏がゴダールのプライベートな一瞬を捉えた写真展が、パルコのOIL by 美術手帖ギャラリーにて7月27日まで開催されている。
展示風景
ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展
会期:7月4日(金)~8月31日(日)
会場:王城ビル
チケット料金:一般2,200円(税込)※日付指定チケットを事前購入
時間:12時~-20時 ※入場は閉館の30分前まで。(19時30分まで)
会期中無休
