本記事では、クリエイティブ職・マーケティング職に特化した転職エージェント「マスメディアン」のコンサルタントである小倉卓也さんと森屋瑞貴さんに、実際に転職できる可能性や狙い目の転職時期について聞きました。
広がる正社員採用のチャンス。中小代理店や異業界からの転職実績も
大手広告代理店への転職は難しいとよく聞きますが、最近の採用状況はどのように変化しているのでしょうか。コンサルタントの森屋さん曰く、「これまで大手の採用は、広告業界での傑出したスキルや経験が求められるのが通例でした。しかし近年、その採用方針に大きな変化がありました。採用を抑制していたコロナ禍から一転、2022年頃から大手広告代理店は広告業界未経験者の積極採用を始め、大きく間口が広がったんです。最近は採用した未経験者の育成に注力しているため、再び即戦力採用に戻りつつあります」。
そのため、「大手広告代理店への転職難易度自体は依然として低くはない」とし、「しかし、マスメディアンでも、中小広告代理店はもちろん、コンサルティングファーム、商社といった異なる業界からの転職をご支援した実績があります」と続けます。さらに、これまでは契約社員での採用が大きな割合を占めていましたが、近年では正社員での中途採用枠が増えているとも言います。
また、広告代理店においては、クライアントとの関係性構築やプロジェクトの推進力といったポータブルスキル(業種や職種を問わないスキル)が評価される場面も少なくありません。そのため、「広告業界経験者しか採用されない」という固定観念を見直すタイミングに来ています。
「商社のほか、大手のIT企業やメーカーといった“ナショナルクライアント”と呼ばれる企業の経験者は評価されやすい傾向にあります。業界経験不問とはいえ、すぐれた実績が求められることには変わりありません。異業種の知見を組織の中で発揮できる柔軟性も重要だと言えるでしょう」と小倉さんは説明します。
電通は12月、博報堂は3月——“採用の動きやすい時期”とは?
希望の企業、職種の求人がいつ出されるかは正確には予測できませんが、一般的に求人が増えると言われるのは、期末・期初です。例えば、電通は12月、博報堂は3月にそれぞれ決算月を迎えるため、体制の見直しや人事異動といった動きが出やすくなります。それに伴い、採用の動きが生じることもあるため、このタイミングを「狙い目」として捉えておくのも一つの戦略です。
しかし、希望の求人募集が突然開始される可能性も大いにあります。「情報収集を始めるのに時期尚早はない」と森屋さんは言います。転職活動においては、タイミングを見逃さないように、企業側の事情を踏まえた情報収集と計画的な準備がカギとなります。
