「唯一AIを使わなかった音がある」AIを使ったラジオCM「金鳥の夏」制作秘話

大日本除虫菊(以下、キンチョウ)が全編AIを使用して制作した、ラジオ放送開始から100年を記念したラジオCM。180秒のCMにおいて、ナレーションから外国語のセリフ、効果音、音楽に至るまで、全てを生成AIツールで制作している。

大日本除虫菊「金鳥の夏」(180秒)。

キンチョウのラジオCMと言えば、近年では2016、17年のACC TOKYO CREATIVITY AWARDS(ラジオCM部門)でグランプリを受賞した「金鳥少年」シリーズや、2023年の同賞でグランプリを受賞した「KINCHO Kingdom」シリーズなどがある。

その中で、制作過程及び全編で生成AIを用いるのは初の取り組み。長年同社の広告を手がける電通 (Creative KANSAI)の古川雅之氏に、今回のラジオCMの制作の裏側を聞いた。

原稿のアイデアは日々の妄想から

━━制作の経緯を教えてください。

今年がラジオ放送開始から100年と知り、何かできないかと考えていました。毎年ラジオCMにチカラを入れているキンチョウの、ブランド広告でありながらも、「ラジオ」や「ラジオCM」をより楽しいものにするコンテンツのようなもの。いつもより長尺で、聞き応えのあるものをつくりたいなと考えました。

まずは原稿から考えました。ラジオ放送開始100年/2025年/先の見えない世界/「金鳥の夏」。こうしたことをテーマに、SFのような未来の不思議なお話しを考えました。

アイデアは日々の妄想から。今や当たり前になった「ネーミングライツ」ですが、どんなものまで名前を売れるだろうか。お互いにライツを買いあって、名前と名前が入れ替わったらどうだろうか?とか。

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