“When the world zigs, zag.”という
BBHの社訓も物語っているが
広告とは逆張りの世界である。
みんながやっていないことをやる。だから目立つ。
単純な真理だ。
ただ、自分が広告を作ってみると、
逆張りというのがいかに難しいか思い知らされる。
そもそも、何を基準と設定して
“逆”をやればいいのかがわからない。
基準となるものが見つかったとしても、
その逆をやる意義をクライアントと握り、
世に出すまでには途方もない道のりがある。
「そんな突飛なことする必要ありますか?」の一言で
一蹴されることもしばしば。
逆張りをしながら、なおかつ多くの人を納得させるのは
針の穴を通すような作業なのだ。
この本には、見事に決まった逆張りの例がぎっしり詰まっている。
しかも、なぜこう考えたのか、という解説付きで。
百貨店の衣服の売り場が年齢ごとに分かれていた時代に、
「なぜ年齢を聞くの」と世に投げかける。
広告の表現が巧みになってきたタイミングで逆に
「ベンザエースを買ってください」とストレートに言う。
名作コピー「想像力と数百円」と別の土俵で戦うために
「Yonda?」という仕組みごとつくる。
ごまかしの効かない言葉というリングで、
時代に、競合他社に、過去の広告に
きちんと逆張りしたコピーが並んでいる。
もっとあがけ、考えろ、壊せ。
そんな風に叱咤激励されている気がした。

『昭和・平成・令和 時代を超えていまなお心に残る 永久不滅の広告コピー』
宣伝会議書籍編集部編
定価:2750円(本体2500円+税)
ISBN:978-4-88335-625-6
「知っていたけれど、何を意味しているのか」「なぜ名作と言われるのか、わからなかった」コピーや「こういう時代だからこそ生まれた」コピーなど、本書はその広告の背景や時代について知ってもらうことを大事に編集しています。その背景や意図について、実際に制作に携わったコピーライターの方々などによる寄稿(一部取材)を129本収録。時代の流れの中でコピーライターがその商品やブランドとどう向き合い、言葉の力を発揮していったのか。それぞれのコピーにおけるライティングの技や言葉の選び方、広告としての面白さを感じてもらうと共に、一つのクリエイティブができあがるまでの物語として読むことができます。
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