三菱UFJ銀行は7月7日、「三菱UFJ銀行メタバース(MUFG Bank Metaverse)」をリリースした。Web3.0型メタバース金融サービスの提供は、新たな金融体験の提供と顧客接点創出などを目的に、国内外のメガバンクで導入が進んでいる。
アバター行員とのバーチャル相談やゲーム体験
「三菱UFJ銀行メタバース」では、専用リンクからアクセスすると、少しレトロな店舗外観が現れる。店舗内に入ると新型店舗を模した空間が広がり、商品パンフレットや動画、各種コンテンツの案内パネルの他、銀行が保有する貴重なアートが展示されている。
応接室では、プライバシーが守られた空間で、お金に関する一般的な質問や相談をアバター行員とバーチャルで面談することが可能だ。その他、エンタメ空間では迷路空間やクイズなどが体験できる。
三菱UFJ銀行メタバースのイメージ。
三菱UFJ銀行は2022年にメタバース空間における新たな金融サービスの提供に向けANA NEO・損保ジャパンと協業。メタバース空間における金融機能および金融サービスの提供に向けたニーズ調査、規制、制度などの検証に取り組んでいた。
国内外の事例 JPモルガンは2022年にメタバース進出
デジタルIDやメタバース内金融サービス、他企業との連携を含む幅広い戦略として、金融機関のメタバース参入は国内外で注目されている。金融機関のメタバース進出の先駆けとなったアメリカ最大手のJPモルガン・チェースは、2022年に仮想空間「ディセントラランド」にラウンドを開設。資産管理サービスなどを展開した。シンガポールのOCBC銀行は2023年、メタバースに仮想店舗「OCBCx65チュリア」を開設。学生のアイデアを採用し、若い世代、特にゲーマーやデジタルネイティブ層をターゲットにゲーミフィケーションを含む支店体験を提供している。
国内では、みずほ銀行が2022年、VRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」に出展。三井住友フィナンシャルグループは2022年にメタバースに関する調査・研究を行う実証実験場「virtual hoops link」を開設。社内外の協働実証を通じてメタバース上のビジネスモデル構築やWeb3の技術習得に注力している。
各行ともDX・Web3戦略としてメタバース領域に参入しながら、アプローチの角度は異なり、今回の三菱UFJ銀行は、メタバース内で相談・展示・ゲームを通じてユーザー体験を深化し、リアル店舗とのシームレス連携を図る方向といえる。


