マーケティングの恩師・佐藤章から受け取った「熱量」が、今も私を突き動かす

2025年、湖池屋 執行役員兼マーケティング本部 副本部長に就任した新井美彩さん。マーケターとしてのキャリアスタートは、新卒で入社したキリンビバレッジでの元上司であり、現在は湖池屋の社長を務める佐藤章さんの下でのOJTでした。キリンビバレッジ時代に「FIRE」や「生茶」などの大ヒットを連発し、「伝説のマーケター」と呼ばれる佐藤さんの下で、ゼロからマーケティングを教わったといいます。人を育てる立場になった今、若い世代のマーケターたちに何を伝えるのでしょうか。マスメディアンのキャリアコンサルタント・荒川直哉が伺いました。

とりあえずやってみる環境に育てられた

━━前職のキリンビバレッジでは、湖池屋の現社長・佐藤章さんの下でマーケティングの基礎を築かれたそうですね。マーケティング職になった経緯から教えてください。

はい。キリンビバレッジに新卒で入社して営業事務を務めていましたが、もともとモノづくりに憧れがあって。年1回、会社に提出するキャリア申告書に、マーケティング部門へ行ってやりたいことを枠からはみ出すぐらいにたくさん書いて提出したんです。マーケティングのことは何もわからない丸腰状態でした。それでも申告書から圧が伝わったのか、念願かなって異動できることになったんです。

そこで当時、マーケティング部門の部長代理を務めていたのが佐藤章でした。私が異動した1999年は、その後、発売初年度3億本販売の大ヒットを遂げる缶コーヒー「FIRE」が、いよいよ世に出るタイミング。私からすれば、佐藤はそのゴールデンチームを率いる雲の上の存在で、住む世界が違う人だと思っていました。

湖池屋
執行役員 兼 マーケティング本部 副本部長 マーケティング部 部長
新井美彩(あらい・みさ)氏
1997年、キリンビバレッジに新卒入社。販売推進部で営業事務を経験したのち、1999年に念願かなって商品企画部に配属。「生茶」や「Drink! Smap!」など話題のプロジェクトに多数従事。出産、育児のための離職を経て2017年に湖池屋入社。2022年よりマーケティング部 部長、2025年より現職。スナック菓子の概念を変える新たな挑戦を続け、マーケティング部隊の組織・風土改革にも取り組む。

そんな中、私も佐藤からOJTを受けることになり、最初に任されたのがゆくゆくは「生茶」として発売される日本茶の開発プロジェクトだったんです。佐藤の育成方針は徹底してOJTでした。広告会社との打ち合わせ、CM撮影、グループインタビューと、異動してきたばかりの私をどこへでも連れていってくれたんです。

あるとき、「これやってみろ」と渡された仕事が、なんとSMAPとのコラボプロジェクト。アートディレクターの佐藤可士和さんがデザインを担当された、SMAPの『Drink! Smap!』CDジャケットに缶のイラストが描かれていているのですが、「このドリンクが実在したら面白くない?」という話が上がったらしくて。キリンビバレッジに企画が持ち込まれ、うちの佐藤が二つ返事で乗った。そして、可士和さんが私を担当に指名してくれたんです。

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荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)
荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

荒川 直哉(マスメディアン 取締役 国家資格キャリアコンサルタント)

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。累計4000名を超える方の転職を支援する一方で、大手事業会社や広告会社、広告制作会社、IT企業、コンサル企業への採用コンサルティングを行う。転職希望者と採用企業の両方の動向を把握しているエキスパートとして、キャリアコンサルティング部門の責任者を務める。「転職者の親身になる」がモットー。

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