参議院選挙の比例代表で、国民民主党と参政党が大きく票を伸ばしました。与党の苦戦は選挙戦の最中から予想されていたものの、東北大学特任准教授でアステリアの執行役員コミュニケーション本部長の長沼史宏氏は、その要因にマスメディアによる報道姿勢の変化があるのではないかと見ています。その報道姿勢とは(以下寄稿)。
候補者や政党に深く踏み込んだマスコミ各社
7月20日の投開票をもって、猛暑の中で行われた参議院選挙が幕を閉じました。結果は周知のとおり、与党勢力が大敗し、国民民主党と参政党が大きく躍進しました。
今回の選挙期間中、私が気になっていたのが、特にテレビ・新聞などの大手メディアが積極的に選挙報道に踏み込んでいたことです。今までは、公平性を意識するあまり、公示後は候補者や政党の主張に深く踏み込まない“自主規制”が見られましたが、今回は異なりました。SNSの反響や政党の思想や主張内容にまで言及する報道が見られ、従来とは様相が異なっていました。
これは、かつての兵庫県知事選で“メディアの沈黙”が批判されたことへの反省があると思われます。
この変化は、報道業界の前進(改善)ともいえますが、他方で一部報道においては過剰な主観や感情的なトーンが混じる場面も見受けられました。
キャスターによる感情的な否定が逆効果?
たとえば、ある政党の思想を一方的に否定したり、番組内でキャスターが党首の発言を感情的に否定したりするような場面も。そのような報道が、結果的に“逆効果”を生んでしまったのではないかと感じています。
事実、メディアによる批判の対象となっていた政党が、比例代表で12%超の得票を得て、与党に次ぐ規模の支持を集める結果となりました。4月時点では、通信社の世論調査で1%前後の支持率だった政党です。
