文:浅見隆行(アサミ経営法律事務所 弁護士)
1997年早稲田大学卒。2000年弁護士登録。中島経営法律事務所勤務を経て、2009年にアサミ経営法律事務所開設。企業危機管理、危機管理広報、会社法に主に取り組むほか、企業研修・講演の実績も数多い。毎年100試合以上を現地観戦する高校野球愛好家でもある。
1997年早稲田大学卒。2000年弁護士登録。中島経営法律事務所勤務を経て、2009年にアサミ経営法律事務所開設。企業危機管理、危機管理広報、会社法に主に取り組むほか、企業研修・講演の実績も数多い。毎年100試合以上を現地観戦する高校野球愛好家でもある。
8月10日、広島県代表の広陵高校が夏の甲子園出場辞退を表明し、堀正和校長が謝罪した(写真:スポーツ報知/アフロ)
第107回全国高等学校野球選手権大会に出場していた広島県代表の広陵高等学校が一回戦で勝利したのち、2025年8月10日に出場辞退を発表しました。
1月に野球部内で発生した暴力行為について、被害者の親を名乗る人物が被害の実態をSNSに投稿したことをきっかけに、大会直前から広陵に対する中傷が相次ぎ(学校に対する爆破予告もあったようです)、加害者である野球部員たちを特定した顔写真が拡散されるなどしたため、です。
今回は、企業危機管理を日頃扱っている弁護士としてだけではなく、練習試合・公式戦を含め毎年100試合以上を現地で観戦する高校野球愛好家としての知識も活用して、このケースの危機管理とその広報の問題点を5つのポイントに絞って解説します。なお、今回の辞退も、甲子園観戦のために現地滞在中にこの一報を知りました。
1:「なぜ大会前に辞退しなかったのか」との批判
※写真はイメージです
大会前から批判が殺到していたにもかかわらず、広陵が1回戦を突破してから辞退を発表したために、「後手に回った」との指摘が相次いでいます。
2005年には高知県代表の明徳義塾が大会2日前に部員による喫煙や上級生による暴力行為を理由に辞退し、県大会準優勝だった高知高校が急遽出場することになった前例があります。

