徳永有美さんに聞く、いま求められるメディアリテラシーとは?―「私の広告観」出張所

月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部や誌面では掲載しきれなかった話をお届けします。今回登場するのは、フリーアナウンサーとして数々の番組で活躍中の徳永有美さんです。
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徳永有美さん

フリーキャスター。1975年石川県金沢市生まれ。テレビ朝日アナウンサーとして報道・情報、バラエティ番組で活躍、『報道ステーション』のスポーツコーナーを担当した。その後フリーキャスターとなる。2017年1月からAbema TV『けやきヒルズ(現ABEMAヒルズ)』、2018年10月から『報道ステーション』のメインキャスターとして出演。また、宮城県気仙沼市の探究学習塾「ナミカゼ」の活動にも参加し、学生の指導にも力を入れている。

Q.徳永さんが情報を発信する際に、心掛けていることは何ですか。

日々、言葉や伝え方はじっくりと練っています。夜放送の番組の当日は準備のため、夕方には現場に入ります。放送内容を確認し、スタッフとの打ち合わせでは、自分が練った言葉とともに議論を交わし、さらにブラッシュアップしていきます。

このような工程を経る理由は、取材先その他、いろいろな人からつながれたニュースや言葉を、最後にキャスターという立場で伝える責任を重く感じているからです。アナウンサーやキャスターはクリエイターではないので、発信する言葉に自分の色やクリエイティビティを過剰に乗せることはしないようにと考えています。

ニュースを伝える言葉に私的感情を乗せることは、ニュースの本質を捻じ曲げてしまいかねない。皆さんに伝える時は、取材情報や周りから得た知見や意見を、自分の中で精一杯熟考したのち、それを一旦すべて削ぎ落とすような感覚で、意識をニュートラルにします。

それは一見矛盾しているようにも思えるし、かなり労力のいる作業ですが、それこそが本番前の大切な作業だと信じています。

そのうえで私が伝えた言葉、表情、さらには“雰囲気”を通して“伝わってしまう”、言うなれば、“はみ出してしまう”私の心や熱量こそが、キャスターの重要な存在意義だと感じていて。“選ばれる意味”のある、ニュースにおける濾過機のような存在でありたいと常々思っています。

イメージ 『報道ステーション』(左)や『ABEMAヒルズ』(右)の放送前の様子。夜放送の番組の当日は、準備のため夕方には現場に入るという。

『報道ステーション』(左)や『ABEMAヒルズ』(右)の放送前の様子。夜放送の番組の当日は、準備のため夕方には現場に入るという。

Q.大学卒業後、テレビ朝日のアナウンサーとして入社された徳永さんですが、実は広告業界が第一志望だったと聞きました。

そうなんです、大学生の頃は広告プランナーに憧れていて、『広告批評』の愛読者でした。創刊者の天野祐吉さんに影響を受けました。

「時代の感性と自分の感性をつないでいく」という言葉が大好きで、言葉の力と可能性を信じる自分にとって、いつまでも大切にしたい格言です。取材や放送準備でしたためるメモをずっと残していて、今や何十冊にもなるのですが、そこに記された言葉たちは、その時の自分の感性が蓄積されたものなので、ずっととっておきたい宝物です。

イメージ 徳永さんが取材や放送準備でしたためるメモ。

徳永さんが取材や放送準備でしたためるメモ。

他にも、幼い頃からテレビCMを見るのが好きで、広告クリエイターになりきって、つくりたいCMを妄想したり、メイキングを見て楽しんでいました(笑)。

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